言葉の調査高年層F・A氏
国文学科3年 西山紘大

1、 調査概要(調査対象者のプロフィール)
・ 調査対象者・・・東京都世田谷区在住 F・A氏(76歳)
・ 調査方法 ・・・インタビュー式アンケート
・ 回収方法 ・・・即日回収
・ 調査日時 ・・・2004年1月6日
・ 対象者のプロフィール
  対象者のF・A氏は77歳という高齢とは思えないほど元気な方でとにかくよく話される方だった。また若いころからいろいろな事業、仕事に関わっており人脈も豊富な方だった。F・A氏は戦時中海軍に所属していたが高学歴で事務系の仕事が得意ということで兵役中も東京にいたということで主な外住歴のはなかった。現在は不動産貸付という職業で主に実家にいるそうだ。家族構成は配偶者、長男一家、次男と一緒に暮らしている。テレビは東京オリンピックに合わせて購入したそうで現在はNHKのニュースとテレビ東京系列の「何でも鑑定団」くらいしかみていないそうだ。

2、 調査結果・各項目ごとの考察
・ 音声聞き取り調査
 彼は基本的に東京言語を発しておりアクセントに関する点ではあまり効果的な傾向は得られなかった。しかし、言語に関しては「ヒト」を「シト」、「アサヒ」を「アサシ」と発音していた。また鼻濁音に関しては「カガミ」と普通に発音していた。このことから一般的な東京都言語話者といえるだろう。

・ 東京方言言語調査
 各種類ごとにはっきりと分かれた結果となった。「おっかない」などの単語についてはだいたい「使うし聞く」「使わないが聞く」などの意見で特に「使うし聞く」という意見が目立った。また「いえてる」に関しては興味深い話が聞けた。対象者と同じ年代の人も時々使うらしいのだがどうもしっくりこないらしい。話から察するとしっくりくるのはもう一つ下の年代、中年層ということらしい。これは、下の年代に感化され、対象者の年代も使うようになったということだろう。また、「〜だべ」に関しては「〜だんべ」という言語を使うらしい。しかも、周りの年代すべて。これは世田谷区特有の方言と
いえるのではないだろうか。また「〜べ」はまったく使わないし聞かないということだった。

・ 東京方言意識調査
 対象者は相手によって言語を変えることを強調していた。命令形に関しては「けろ」「しゃべろ」のほうが強い命令だと話していた。言葉の意識に関しては自分の言葉は江戸弁で早口や「みじけえ」などかなり江戸っ子ぽさを出していた。

・ 丁寧語調査
 ほとんど「お」も「ご」も使わないようだ。しかし、若干「お」をつけて話すらしい。「年始」については自分が行く場合「年始」人に尋ねる場合は「お年始」、自分が受ける立場ならば「ご年始」というらしい。また、「お」を使う単語に対しても目下の人に対しては何もつけないと語っていた。

・ ら抜き言葉
 ら抜き言葉は一つも「ら」を抜かないといっていた。しかも「来られる」は「来ることができる」が標準語だと話しており、他にも「みれる」は周りは使っている、「食べれる」は「食べれ」と言う方言だと語ってくれた。

・ 遊びの調査
 「じゃんけん」あまりめずらしい傾向は見られなかった。「わらべうた」「となえうた」に関してはまったく調査できなかった。一つだけ調査ができたものは「おにごっこ」で二チームに分かれてやるものはなかったという。ではどういう遊びをしていたかというと「水雷遊び」といわれるものらしい。これは3チームに別れてやる遊びらしく「水雷」「強い戦艦」ともう一つのチームに別れてやるものらしく、じゃんけんのように「三すくみ」の要領でやるらしい。

3、感想
 今回の調査では「言葉の調査」以外でも様々なことが勉強になった。普段高年層と接する機会が極端に少ない私にとって接すること自体が勉強になったがそのほかにも調査対象者の方はいろいろなことを語ってくれて大変参考になった。簡単に言えば自分で動き出さなくては何も始まらないということだ。様々なことを体験してきた対象者の方はそれが当たり前だったのかもしれないが、兵役、レストラン経営、会社員、ホテル経営など自らが動き出した結果、今上げたような経歴がついてきたわけでそのためいろいろなところに人脈もできたわけで私にとって目からうろこの話ばかりだった。大変貴重な一日だった。

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