国文学科2年 糸賀さとみ



 一般的に言われる「男らしさ」「女らしさ」が、求められる時代ではなくなった。
女性的な言葉づかいや身振りで人気を得た男性芸能人や、
一人称を「ぼく」と言うアニメやゲームの女性キャラクター。
それらはもうテレビや創作物の中の話とは限らない。
男性語を女性が使い、女性語を男性が使うこともある。
でも、実際にそういった現象を、現代中学生たちはどのようにとらえているのだろうか。


【調査結果】
1.人と話すときに、
(1)「〜わよ」という語尾を使うことがありますか。(例:ほら、行くわよ)


男性が使わない理由:
「女言葉だから」
女性が使わない理由:
「女っぽすぎて気持ち悪い」
「おばさんぽい」
「自分には似合わない」
男性が使う理由:「面白いから」
女性が使う理由:「なんとなく」


(2)「〜なの」という語尾を使うことがありますか。(例:とても楽しみなの)

男性が使わない理由:
「女言葉だから」
女性が使わない理由:
「とくにない」「〜なんだ、を使う」
男性が使う理由:
「面白みがある」「ニュアンスがよい」
女性が使う理由: 「自然に」


(3)「〜だわ」という語尾を使う

男性が使わない理由:
「女言葉だから」
女性が使わない理由:
「丁寧すぎる」「おばさんぽい」
男性が使う理由:
「無意識」「なんとなく」
女性が使う理由:「とくになし」

(「なの」「わよ」は使うが「だわ」は使わないなど、細かく分けている人もいた。)




2.同年代の女性が「俺、〜だぜ」などを使うのを聞いて違和感はありますか。

違和感があるとしたのは 
女性では55%であったが、
男性では69%と高かった。
女性は、「男性風だから」との理由が多数であった。
「顔によって違和感は異なる」と、個人のイメージに関わるとの回答も。
ボーイッシュな子でも、言葉づかいはあくまで
女性風がいいということになるのかな?




3.同年代の女性が「私、〜だわ」などを使うのを聞いて違和感はありますか。

1の項目で、
女性は平均して87%が女性語尾を使わないとしていたにもかかわらず、聞く分にはさほど違和感はないとの結果が出た。
違和感がある、との回答理由は、男女ともに「大人っぽい」「同年代からは聞かない」が多数であった。女性語はそれを話しているのが女性であっても、大人びた印象を受けるようだ。




4.同年代の男性が「私、〜だわ」などを使うのを聞いて違和感はありますか。

2と対照的な質問である。
だが、 2より違和感を覚える人が多い。
男性では78%、
女性では55%。
2と決定的に違ったのは、「気持ち悪い」という回答があり、それが全体の約10%を占めていたことである。
男っぽい言葉づかいの女より、
女っぽい言葉づかいの男のほうが定着していないようである。おねえキャラの道は厳しい?





≪自分の言葉編・2≫
5.言葉づかいを指摘されたことがありますか。


男性の45%、女性の68%が指摘された経験をもつ。やはり女性の方が躾が厳しいもよう。
まず、指摘をした人だが、「ある」のうち
男性は先生によるが50%、
親によるが20%。
女性は親によるが66%、
   先生によるが22%
となっている。   
内容はどちらもタメ口と汚い言葉づかいがほとんどだが、女性に限り、男性語の使用をいさめるものがみられた。



【まとめ】
現代中学生間において、
・性別的言葉づかいは、ほぼそれぞれの性別に伴って使われている。
・異なる性の言葉づかいに対する違和感は平均して、男性73%、女性55%と根強い。
・女性語のみが衰退してきている。
・女性によって、中性的な言葉づかいが用いられるようになった。
・男性は学校で先生に、女性は家で親に、言葉づかいを注意されている(あなたはどう?)





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日本大学文理学部 2004年度フィールドワーク入門