はじめに
田中ゆかり
このサイトは、2020年度後期開講の基礎演習2の授業報告です。基礎演習は国文学科の専門科目のひとつで2年次配当の選択必修科目です。この科目は、国文学科の2本柱のひとつ日本語学のうち、現代日本語学の基礎的スキルを学ぶことを目的としています。
当初は、言語景観・言語サービスをテーマとした隣地調査とグループワークによるフィールドワーク系現代日本語学の基礎的スキルの獲得を目指していましたが、COVID-19感染症拡大に伴い、隣地調査と大学の図書館やパソコン教室におけるグループワークができなくなりました。
そこで、オンライン環境において利用可能な電子資料を中心に調査・分析が可能なテーマとして「「方言」で読み解く日本語社会」に再設定した次第です。
この科目では、調査対象とする時代を「平成期以降」とし、社会動向を探るデータソースとして電子資料としてアクセスできる新聞記事データベースをメインとしました。履修者は、まず、電子資料の使い方の練習を兼ねた予備調査を経て、全国47都道府県から調査対象地域を選びました。その上で、地域によって「方言」がどのように保存・継承、あるいは活用されているのかを主として新聞記事データベースから探るというミッションに取り組んだ次第です。
調査対象の選定、データ収集の際のキーワード等の設定、収集したデータの分析と報告は個人で行うこと、としました。一方、会議システムや学部の学習支援システムを通じ作業内容を共有、発表については全員参加でフィードバックしあうことを通じ、受講者間の交流がはかれるよう心がけました。
オンライン授業ではあるが、日本語学の基礎を学びながら、現代社会のありようを読み解くことを実感してもらうことを目指した、というわけです。
拙いところもあるとは思いますが、なかなか興味高い結果が示されていると思います。学部学生たちが自分たちなりに「方言」から現代日本語社会を読み解こうとした試みとして、本サイトをご覧ください。
【授業の方法】
zoomによる双方向型授業。連絡ならびに資料配布、フィードバックなどはBlackboard経由で行う。なお、この科目は、国文学科4年・齋藤岳さんがSAとして参加する。
【授業概要】「方言」で読み解く日本語社会
日本語社会における「方言」の価値の高まりを受け、「方言」の保存・継承・活用の事例に事欠かない。この科目では、各地の取り組みについて調査・分析することを通じ、日本語社会を読み解く目を養うことを目的とする。
【授業のねらい・到達目標】
「方言」の保存・継承・活用の実態は、時代・地域・媒体により異なる。この違いは、時代・地域・媒体・コンテンツによって「方言」の価値が異なるということを示唆するものである。この科目では、各地の取り組みについて調査することを通じ、日本語社会を読み解く目を養うことを目的とする。同時に、具体的な言語研究の企画・実施、分析と報告までの一通りを学び、自分自身で現代日本語学の研究テーマについて調査の立案から分析まで実行するための知識とスキルを獲得することも目的とする。
【授業計画】
- 09/30 1 ガイダンス 発表日調整 課題:調査対象地域の検討
- 10/07 2 「方言」の保存・継承・活用事例についての導入的講義 課題:調査対象地域を選び、調査対象地域についての基本的な調査を行い、整理する
- 10/14 3 「方言」の保存・継承・活用事例を調査するための文献・電子資料の使い方(講義と実習) 課題:文献・電子資料を用いて調査対象地域の「方言」について調査を行い、整理する
- 10/21 4 発表についての解説 課題:発表についての解説に従い調査を実施し、整理する
- 10/28 5 発表準備(課題研究)発表についての質問・相談
- 11/04 6 発表とフィードバック
- 11/11 7 発表とフィードバック
- 11/18 8 発表とフィードバック
- 11/25 9 発表とフィードバック
- 12/02 10 発表とフィードバック
- 12/09 11 発表とフィードバック
- 12/16 12 発表とフィードバック
- 12/23 13 発表全体へのフィードバック 最終課題作成解説
- 01/13 14 最終課題提出 最終課題ふりかえり
- 01/20 15 授業全体のふりかえり