4.4.デパートの非常用掲示板の表され方について

国文学科2年 服部久美子



 
地震や火事などの非常時に必要不可欠となる非常用の掲示板。いつもと違った視点で見てみたら、意外と面白い発見があるのかも・・・。

1.「非常口」を示す文字は何カ国語で表示してあるか

 デパートにある左のような非常口マークの脇をよく見てみると、『非常口』や『EXIT』と書いてあったり書いてなかったりする。東京23区内と東京近郊のデパート、計34店で調査を行なった結果、「非常口」の表示の仕方は次の3パターンに分かれることがわかった。

@マーク+日本語で『非常口』+英語で『EXIT』

Aマーク+日本語で『非常口』

Bマークだけ(文字なし)




《■東京23区内のデパート■》


 東京23区内のデパートは21デパート中、@が13店、AとBがそれぞれ4店であった。地域差で言えるのは、銀座・有楽町のデパートは全て@のパターンであるということだ。また、同じデパートごとに見てみると、三越は池袋・日本橋本店・銀座・新宿・恵比寿の全店舗で@と統一している。松屋も、浅草店と銀座店どちらも@である。反対に西武は、有楽町店では@、池袋店ではA、シブヤ店ではBと全く一貫性がないのが面白い。



《■東京近郊のデパート■》

東京近郊のデパートは、13デパート中@が8店、Aが2店、Bが3店という結果だった。23区内と同じく、やはり@のパターンが多い。調査する前は “都会は多言語に対応しており、地方はあまり対応していないのではないか”と漠然と思っていたのだが、「非常口」の表示の場合はその仮説は当てはまらないことが分かった。
 東京近郊のデパートを地域性の観点から見ると、町田は小田急と東急の両デパートとも@である。デパートごとに見てみると、伊勢丹は府中・相模原・吉祥寺・松戸は@であるのに対して、立川店だけはAである。地図全体を見ても分かるように、同じデパートでも店舗によって表示が異なる例が多く、完全に統一しているわけではないようだ。


2.「トイレの非常用ボタン」を示す文字は何カ国語で表示してあるか

 トイレの非常用ボタンとは、トイレで急に気分が悪くなった人が助けを呼ぶためのものである(右写真)。今回調査した結果、一般のトイレにそれが付いているデパートはほとんどなく、だいたい障害者用トイレか多機能トイレに限定して設置されていた。非常用ボタンであることを示す文字は日本語のみで書かれているデパートがほとんどで、英語表記も加えられているデパートは稀であり、他の言語での表示はなかった。

★日本語表示の言葉はデパートによって実にさまざま!

「非常呼出」「緊急用」「非常用」「非常通報ボタン」「非常用ボタン」「非常ベル/緊急連絡用ブザー」などなど。

ちなみに英語は、Emergency Call」「Emergency Only」など。