4.3.全館案内図の多言語化状況について
国文学科2年 澤入菜摘
まず、地図に結果を照らし合わせ、『全館案内図』の多言語化の状況を見ていきたいと思う。
下記の東京23区内の地図に表記してある地図を見てもらうと分かるが、特に池袋・新宿・銀座に多言語化が伺える。中でも英語以外の多言語が使用されている地域は銀座だけである。
銀座については対象デパートの全店が、主に英語を使用し、中でも「プランタン銀座」では仏語を、「松坂屋銀座店」では中国語・韓国語を使用していた。しかし残念なことに、データがなく店舗別で見た場合どのような結果が出るのかが分からない以上、この2店舗を指して銀座に多言語化が著しいとは言い切れない。
また、新宿はAデパート新宿店をのぞく全店が、主に英語を使用しているという結果となった。新宿という地域を見る上で注目したいのは伊勢丹・高島屋であり、多言語使用の結果が出ているのは新宿店だけである。
下記の表1、表2を見てもらいたい。表は1言語を扱っているか2言語を扱っているかを示したものであるが、伊勢丹松坂屋ともに、新宿店だけ2言語化を図っていることが伺える。この場合の2言語目が「英語」となる。
表1‐伊勢丹:店舗別 表2‐高島屋:店舗別
新宿でただ1店舗多言語化が見られなかったAデパートは、下記の表での同系列の店舗と見比べてみても、多言語状況に変化はなく、店舗自体の趣旨が多言語化使用の方向を向いていないと推測できる。
東京23区内の地図から、人が集まるからといって多言語が使用されるわけではないことが伺えるが、店舗別に見てもAデパートの例、東急の例(表3)などから、店舗別にも多言語使用に偏りがあることが伺える。
しかし、『全館案内図』は、「見易さ・情報量」を重視するために、出来るだけ簡潔な装丁となっており、そのために、特別の需要がなければ下手に多言語を取り入れ必用な情報を見難くしてしまうことを避けようとしていることがインタビューにより明らかになった。
それでも更に多言語を使用している地域には、それこそ、相応の需要があると考えることが出来るだろう。
表3‐東急百貨:店舗別