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キャラ付け分析

国文学科2年 山崎優子

1.目的

Axis Powers ヘタリア(以下ヘタリア)でのキャラ付けを主として扱う。
授業内発表資料では、方言キャラを分析し、さらにグラフを用いて方言キャラの割合を示した。53カ国のうち調査対象35カ国のうち方言キャラクターを6人とした。今回は、除外された非方言キャラクターがどのような言葉によるキャラつけをされているのか分析する。そのうえで改めに方言キャラ達との比較をする。


2.分析方法

調査対象国をまず、方言(確認がとれるもの)と非方言にわける。
そのうち非方言キャラとされた29カ国が単行本第一巻から登場した順に話したセリフを3コマずつ抜き出し特徴を調べる。
また、内心語(心の中で話している)と思われるセリフは除外とした。
またシーランドは、セリフが枠で囲まれていないが、読者に向かって話しかけているとみなしている。

非方言キャラ一覧 29カ国 (不順)
・イタリア・ロマーノ(北イタリア)・ドイツ・日本・オーストリア・ハンガリー・プロイセン・スイス・リヒテンシュタイン・アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア・エストニア・リトアニア・ラトビア・ウクライナ・ベラルーシ・ギリシャ・カナダ・キューバ・アイスランド・ローマ・ゲルマン・韓国・フィンランド・神聖ローマ・シーランド


3.結果 非方言キャラはどのようにキャラを確立しているのか?

外見上のキャラづけでなく、セリフを中心としてキャラ付け分析を行った。簡略表を結果の解釈の後ろに置く。
まず、非方言キャラのセリフを3コマ抜き出すと、大きな特徴がでた。

[1]一人称が独特であるキャラがいた。
スイス(吾輩)フランス(お兄さん)シーランド(シー君・シーランド君)である。
ただし、ウクライナは除外する。ウクラナイナは、弟であるロシアに対して「お姉さんと」と自称した可能性があるからだ。

[2]語尾にはっきりとした特徴があるキャラがいた。
中国→「あるか」「ある」「よろし」といった完全に漫画における中国人キャラの言葉づかいをしている。
韓国→「~ぜ!「だぜ!」といった言葉づかいが目立つ。2巻のキャラ紹介でも『「~だぜ!」口調のゴーイングマイウェイ青年』と紹介されている。ただし、場合によっては、「ですか?」といった丁寧語も使うようである。

[3]丁寧語を使うキャラが目立った。
日本・リトアニア・エストニア・ラトビア・リヒテンシュタイン・ベラルーシ・オーストラリア・シーランド
丁寧語とみられる言葉づかいをするキャラでも、2通りにわかれた。ここで興味深い点は、エストニア・リトアニア・ラトビアの3カ国は、バルト三国と呼ばれ地理的におなじ地域にいる。外見上では、それぞれの特徴があり、性格もそれぞれ異なっているが言葉づかいは一緒であることだ。周辺国は、ロシアやドイツ、ポーランドなどがあるが、まったく言葉遣いは似ていない。これは、意図的に、バルト三国を一緒の言葉遣いにしたと考えていいだろう。

以下は、キャラ付けをされているとされた、キャラの内訳。言葉に特徴がなかった18人をぬかして表示されている。


キャラ付け分析

4.結果の解釈

翻訳方言は使われていない。ただし、中国の言葉づかい「~ある」「よろし」といったものは、私たちが漫画の世界で考える中国人の言葉づかいそのままであるため、翻訳方言としてみなしてもいいのかもしれない。しかし、翻訳方言の定義については、舞台が外国でなおかつ外国のなまり(たとえばイギリスなまり・南部なまり)を指す。英語を筆頭した世界言語が各地で独特のイントネーションをもったりすることで••なまりが発生し、そのなまりを日本的にわかりやすく方言としたものである。そのために、中国の言葉づかいは、漫画世界、メタ的な使われ方としてみなしてもよいだろう。
これは、方言キャラたちにも当てはまると私個人は考えている。つまり、各国の個性に合わせて方言が選ばれているのでなく、ある程度、このキャラクターはこんなしゃべり方をするだろうとして選ばれているのではないだろうか。


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