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作品内での方言の扱われ方について

国文学科2年 高橋亜弓

全6作品のうち関西弁について触れることがなかった『ラブラブ・ショック』と、ギャグ漫画であり一貫したストーリー性のない『チョコミミ』を対象外とした他の4作品において、“関西弁”そのものがどのように扱われているのかを分析した。


分析対象データ

表1<対象作品・キャラクターデータ>

作品名作者連載開始年対象キャラクター恒常/臨時位置づけ
ご近所物語矢沢あい1995~西野ジロー恒常的ヒーローの仲間
   田代勇介臨時的ヒーローの仲間
世紀末のエンジェル倉橋えりか1999~草太郎恒常的ヒロインの仲間
ソラソラ槙ようこ2000~及川空子恒常的ヒロイン
   佐久間ヒカル臨時的ヒロイン
たらんたランタ槙ようこ2006~三木三智也臨時的(サブ)ヒーロー
   その他3人臨時的ヒーローの仲間

分析方法

作品中の、方言話者が自分の関西弁について話す場面やその聞き手達が関西弁について反応する場面を取り上げ、作品内での関西弁の扱われ方を分析する。


分析方法

『ご近所物語』
*場面
田代は、ヒーローと言い争う場面で無意識のうちに使っている
西野は、一時的に田代に関西弁がうつったとき、田代が関西弁を使うことに対し「気になるなー」と言っている
(ただしこの台詞は、言い争う二人の背後で一人ぼやくように書かれており、字も小さな手書き文字である)
*特徴
関西弁の使用はサブキャラのみ
関西弁に関する発言は独り言で終わっている
『世紀末のエンジェル』
*場面
草太郎が初めて関西弁を使ったとき、聞き手の2人が「関西弁!?」と驚いているが、この他に関西弁について触れることはない
*特徴
関西弁の使用はサブキャラのみ
関西弁に対しての反応は1コマで終わっている
『ソラソラ』
*場面
空子は、転校時に標準語を喋れないことを気にしている(関西弁を使いたいが、標準語でなければ孤立するのではないか心配している)
しかし、空緒(ヒーロー)に「誰かに合わせる必要はない」と言われ、その後関西弁について触れる話はない
*特徴
関西弁の使用はヒロインのみ
関西弁についてヒーローとやり取りしている
『たらんたランタ』
*場面
ヒカルは、関西弁をこわいものだとして使わないようにしているが、怒ったときに勢いで話してしまい、その後関西弁を使ったことを後悔している
三木と他の3人は、ヒカルの関西弁を聞いて冷やかしている
*特徴
関西弁の使用はヒロイン・サブヒーロー・サブキャラ
関西弁について、ヒカルは常時使わないように意識している

90年代の作品では、関西弁を話すキャラクターは全員がサブキャラである。また関西弁そのものについてはほとんど語られることがなく、関西弁は軽く受け流されている。90年代の作品における関西弁は、台詞数の少ないサブキャラの個性付けに利用されている。
00年代の作品では、2作品ともヒロインが関西弁を話している。また90年代の作品と比べると、作品の中で関西弁についてより強く触れていて、ストーリーの展開における重要性が高いといえる。


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