国文学科2年 高面朋美
次に、各雑誌のおける読者層の違いからうまれる方言の使用頻度の違いについてみていきたい。今回、12冊雑誌の中で、方言キャラクターの出てくる話の掲載数を各、雑誌によって掲載数にばらつきがみられため、雑誌単位で比率をだし、四捨五入してまとめた。(表3-1)その結果、女性誌であるBELOVEが一番多く50%、その次に多かったのが青年誌であるビックコミックが40%、また、方言使用が一番多かったBELOVEと同様ジャンルの女性誌であるCooKeiに関しては、ひとつも掲載がなく0%という結果がでた。
図3-1
しかし、今回の12冊の雑誌を年齢層で少女誌・少年誌をヤング向けの雑誌、青年誌・女性誌をアダルト向けの雑誌としてみていくと、ヤング向けの雑誌に掲載されている方言使用キャラクターの登場する話数は、合計16話で比率に直すと43%。アダルト向けの雑誌に掲載されている方言使用キャラクターの登場する話数は、合計21話で比率に直すと57%であった。(注1)そして、12冊の雑誌のアダルト向けとヤング向けの比率を、グラフでみた結果、アダルト向けの雑誌の方が方言を使用するキャラクターの出てくる話が若干多い事がわかった。これに関して、あくまで推測の域を過ぎないのだが、年齢における日本語習熟度が、関わるのではないかと考察した。
アダルト向けに分類した雑誌は、10代後半#xFF5E;30代前半までの読者をメインに読まれる傾向がつよく、一般に、義務教育を受けて国語を学んで来た人が大半をしめる(帰国子女・留学生は、マイノリティーのため除外)。そのため、標準語というモノを日本語教育の中である程度、理解している。そこで標準語よりも理解力を要する(その方言を、日常語として話している人々もいるがマイノリティーのため除外)方言を物語の中で使用したとしても、読者の読解力もそれなりにあるため、支障なく物語が読まれるのでは、ないだろうか。逆に、ヤング向けに分類した雑誌は、10代以下#xFF5E;20代後半の読者をメインに読まれている傾向がつよく、まだ義務教育の過程にいる人々に読まれるのがメインのため、日本語の習熟度が低く、物語を読み進めるのに支障の現れない程度に方言が使用されているのでは、ないだろうか。今回は、ヤング向けとアダルト向けの雑誌の比率は、若干しかあらわれなかったのだが、雑誌の年齢を、低年齢のもの(「コロコロコミック」など)~高年齢のもの(ビジネスジャンプ」など)まで幅を広げると、より、比率は、顕著になるのでは、ないかと思う。
(注1)年齢層の区分に関しては、少女誌などのあらかじめ用意されていた大きな年齢の区分と、読者の投稿ページに投稿している人の年齢、雑誌に掲載されている宣伝広告などを参考にしてわけた。