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1.本サイトの説明

このサイトは、2011年度後期(水曜4限)に開講した基礎演習2(旧カリキュラム:日本語学基礎演習2)の授業成果報告です。
授業テーマは「言語景観研究入門 」。このクラスでは、社会言語学の1ジャンルである言語景観研究を通して具体的な言語研究の企画・実施、分析と報告までの一通りを学ぶことを目的としました。時代や地域、社会のありかたを使用されている言語の観点から明らかにしようとするものが、言語景観研究です。このクラスでは、調査域を東京中央区の「銀座中央通り」界隈としました。東京一の繁華街である銀座を言語の観点から浮き彫りにしよう、という試みです。
授業の方法は、グループによる演習方式。初回授業ののち、銀座中央通りをクルージングし、こんにちの銀座を捉えるのに適した調査項目などを検討しました。全体討議を経て、調査の対象と調査観点(項目)を決定しました。班と調査項目は次の通りです。

 ・伊藤班:恒常的掲示物(看板、フロアガイド)
 ・金子班:デパートの多言語表示とサービス
 ・赤瀬班:臨時的掲示物
 ・冨澤班:デパートの言語サービスについてのインタビュー・アンケート調査

調査に際してのマニュアルとチェックシートの検討・作成ののち、グループごとにデータ収集と分析を行ない、順次発表を行ないました。発表を発展させた学期末の最終課題が、このサイトと別に刊行した冊子版報告書です(ご関心のある方は国文学科にご連絡ください)。

2.授業計画

授業は、次の通り行った。
第01回 09/28 ガイダンス、グループ分け ※4人ずつ4班
第02回 10/02(Sun) 14:00銀座和光前集合-16:00  実地調査(銀座クルージング)
第03回 10/05 調査方針・班ごとの担当項目検討
第04回 10/12 調査方法・項目検討
第05回 10/19 調査方法・項目検討
第06回 10/26 調査方法・項目検討
第07回 11/02 調査票再確認
第08回 11/09 (各班実地調査&報告準備)
第09回 11/16  データ持ち寄り&分配、報告方針検討
…11/23勤労感謝の日(授業休み)…
第10回 11/30 報告1:伊藤班・金子班
第11回 12/07 報告2:赤瀬班・冨澤班
第12回 12/14 再発表、データ持ち寄り&グループごとに報告書内容など検討
第13回 01/11 冊子報告書課題の整形と提出(印字・データ)
第14回 01/18 サイト報告書課題の整形と提出(印字・データ)


3.参考文献一覧

授業に際して、次のものを参考文献として示した(アルファベット順)。

P・バックハウス(2004)「第2章「内なる国際化」―東京都の言語サービス」河原俊昭編著『自治体の言語サービス』 : 37-53. 東京 : 春風社
P・バックハウス(2009)「日本の言語景観の行政的背景―東京事例として―」庄司博史・P・バックハウス・F・クルマス編著(2009)『日本の言語景観』: 145-170.東京 : 三元社
井上史雄(2001)『日本語は生き残れるか』東京 : PHP研究所
河原俊昭編著(2004)『自治体の多言語サービス』東京 : 春風社
Landry, Rodrigue and Bourhis , Richard Y.(1997).Linguistic landscape and ethnolinguistic vitality : An empirical study. Journal of Language and Social Psychology 16(1):23-49.
正井泰夫(1972) 「新宿の都市言語空間」『東京の生活地図』:152-158.東京 : 時事通信社
『日本語学』28(6)(特集 多言語社会ニッポン)明治書院・2009年05月
真田信治・庄司博史(編)(2005)『事典 日本の多言語社会』岩波書店
庄司博史・P・バックハウス・F・クルマス編著(2009)『日本の言語景観』東京 : 三元社
田中ゆかり(2009)「首都圏の多言語表示―“標準化”の観点から―」『日本語学』28(5) : 10-23.
田中ゆかり・秋山智美・上倉牧子(2007) 「ネット上の言語景観-東京圏のデパート・自治体・観光サイトから」『月刊言語』 36(7) : 74-83.
田中ゆかり・上倉牧子・秋山智美・須藤央(2007)「東京圏の言語的多様性―東京圏デパート言語景観調査から―」『社会言語科学』10(1) : 5-17.

【参考サイト】
日本政府観光局「訪日外客統計」
田中ゆかり担当授業報告


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