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銀座の言語景観調査

あとがき

田中 ゆかり

銀座の言語景観調査のサイト版報告書をお届けします。本サイトは、2011年度後期に行なった「基礎演習2」の履修者の最終課題のレポートをまとめたものです。このサイトは、国文学科の実験実習費によるものです。

2011年は、この授業で調査対象地とした銀座が脚光を浴びた年でもありました。日本経済新聞社が発表した同年の「日経MJヒット商品番付」において、「有楽町」が西の関脇に選ばれています(2011年12月7日日本経済新聞14版1面)。2011年10月に阪急メンズ・トーキョーとルミネ有楽町店が相次いで開業、「若者ら新たな客層を銀座地区に呼び込みつつある」としています。銀座は古くからオトナの街として栄えてきたものの、バブル経済が崩壊したのち、一時期は、人通りも少なくさびしい街となっていました。しかし、2000年代後半からは中国大陸からの観光客の購買力や、ファストファッション店舗の相次ぐ開店に支えられ、新しい顔を見せるようになってきた中での、今回の若返りといってもいいでしょう。このような街の変化を、印象ではなく、言語の観点から実証的に捉えたい、というのがこの授業の目的でした。言語景観からこんにちの銀座を捉えるという試み、どの程度成功したでしょうか。

受講者にとって授業前は、銀座という街も、デパートも身近なものとはいえない状況でした。クルージング前に質問したところ、銀座やデパートにこの半年の間に行ったことのある受講生は皆無でした(ちょっとびっくりしましたが…)。実地調査を経て、最終課題を提出した今、ちょっとした銀座ツウになったかも知れません。受講者にとっても、このサイトに目を通してくださったみなさまにとっても、言語を通して街を捉えなおすという試みの、楽しさと意義を感じていただけたら、まずは成功であったと思いたいところです。最後になりましたが、至らぬところの多い調査に対して、ご協力を下さった方々に深く感謝します。

本サイトとは別に冊子版報告書も作成しました。ご関心のある方は、文理学部国文学科までご連絡頂戴したいと存じます。在庫のある場合は、郵送・宅配料実費にてお分け致します。

なお、この授業には、文理学部RAの林直樹さん(日本大学大学院文学研究科博士後期課程1年)にアシスタントとして参加していただきました。



2012年2月吉日


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