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臨時的掲示物からみた銀座

多言語化された臨時的掲示物

国文学科2年 赤瀬茉莉花

はじめに

日本語のみのものが多い臨時的掲示物であるが、外国語が使われているものも少数ではあるが存在する。それらを一つ一つ見ていくことによって、多言語化された臨時的掲示物の特徴を考察してみた。

調査対象

臨時的掲示物に使われている外国語には、大きく分けて2種類ある。外国語話者向けに書かれているものと、日本語話者向けに書かれているものである。日本語話者向けに書かれている外国語とは、デザイン性を重視して飾りとして使われているものや、日本人が慣れ親しんだ、カタカナ英語としても現れるような言葉のアルファベット書きなどが挙げられるが、多言語化に着目した今回の調査からは外れると考えられるため、調査対象から除外する。
それらを除いた、今回の調査対象とした外国語話者向けの外国語が使われている臨時的掲示物は、以下の9枚である。
1.DHC・銀聯カード(図1) 2.ユニクロ(図2) 3.卑弥呼・water massage(靴屋)
4.銀行(図3) 5.MIKIMOTO 6.がんこ(飲食店)(図4) 7.書店 8.MELSA(図5)9.和光(デパート)

図1

図2

図3

図4

図5

まとめと考察

これらの掲示物において特徴的であった、使用されている言語と記載内容について、表にまとめる。


使用言語

外国語のみ2枚
日本語+外国語7枚

記載内容

臨時的3枚
恒常的6枚

まず分かることは、外国語話者向けの臨時的掲示物も、2種類に分けられることである。一枚目に挙げた銀聯カードの案内のものや、図5の飲食店にあったものは、外国人観光客のみに向けられた掲示物である。日本語はほぼ使われておらず、内容も完全に外国人観光客に向けたものであるこれらの掲示物は、日本語話者にはほぼ関係がないものである。それに対して、その他の掲示物は日本語がまず書かれていて、その内容が他国語で書かれている。これらは、内容も買い物客や観光客全般に向けて書かれたもので、日本語だけのものが多い臨時的掲示物の中で、特に多くの人に伝えたい内容であったり、観光客向けの内容であったりするものに、日本語の外国語訳がつけられているようである。
また、臨時的な内容のものより恒常的な内容のものが多いようである。サンプル数が少ないので断言はできないが、9枚中臨時的な内容に外国語が使われている掲示物は3枚であった。それらも、高級なイメージのある和光、MIKIMOTOにあったものと、書店の英語版の本の発売の案内のもので、特に外国語が使われる要素の高いものである。やはり、臨時的掲示物全体で見ても外国語使用が少ないように、臨時的なものには外国語が使われにくいのではないだろうか。
臨時的なものに外国語が使われにくい要因として、その簡易性の他に、その内容を伝えたい対象が関わっていると考えられる。普段から銀座に来る買い物客にとっては変化として魅力的なイベント、新商品なども、普段の銀座を知らない、むしろ普段の日本を見に来た観光客にとってはあまり関心のないものなのではないか。そう考えると、臨時的な内容に外国語が使われないことも頷ける。




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