0311071 加藤 靖政
同じ方言を使っているのにもかかわらず、キャラクターは地元のキャラクターと外国人のキャラクターに分かれている。地元のキャラクターと外国人キャラクターに県民性から見た違いがあるかどうかを調査する。
外国出身で方言を使っているキャラクターと地元生まれのキャラクターを一人ずつ、3つの地域で取り上げて比較する。取り上げる作品はジャンルや年による性格のばらつきを抑えるため、掲載開始年が近く、ジャンルが似通ったものを選んでいる。なお「ラブひな」と「魔法先生ネギま!」は5年の差があるが、作者が同じであるため選考対象とした。
表1 調査対象作品
表2 調査対象キャラクター
地元のキャラクターと外国人のキャラクター、同じ方言を使うにも関わらず分けて描くのは、二者の間になんらかの差があると思った。ここでは県民性についての先行研究の資料から県民の特徴を項目別にまとめ、片方だけ、もしくは両方当てはまったものを抜粋した。
分析データはトップページに掲載した調査対象作品をそのまま使用する。
以下に、項目別の県民性と地元キャラ、外国人キャラの比較を行った表を掲載する。
表1.大阪府の府民性
表2.広島県の県民性
表3.福岡県の県民性
表を見てみると、予想に反して地元キャラと外国人キャラに県民性の違いはほとんど見られなかった。とあれば、二者の間を隔てるものは県民性にはないと思われる。
では、二者を分けるものとは何か。それは外国人そのもののステレオタイプではないかと思う。今回挙げた外国人キャラクターたちに共通するものに、主体的に動くという特徴がある。ティナの「薫!!ほらこれ飲んじゃってん」(2巻p50 4コマ)、ステラの「今日からわりゃあ、わしの舎弟じゃい」(2巻p126 1コマ)というセリフにあるように、外国人キャラクターは自分から動き、主人公を引っ張っていく。またスゥの「けーたろウチが恋人になったろか?」(2巻p14 1コマ)、といったセリフから、日本の常識から外れているという様子も見受けられる。
地元キャラと外国キャラを隔てるものは方言ではない。外国人の持つステレオタイプが、二つのキャラクターを区別するものなのである。
≪参考文献≫
NHK放送文化研究所(1997).現在の県民気質―全国県民意識調査― 日本放送出版協会
岩中祥史(2003).出身県でわかる人の性格 草思社
真田信治(2007).方言は気持ちを伝える 岩波ジュニア新書
DIAMOND ONLINE―おもしろ県民性データブック(2010).DIAMOND ONLINE 2010年6月17日