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0311015 小澤真冬
0311072 城戸明日香
0311080 澤本知彦

1.班のテーマと調査概要

方言イメージと方言使用キャラクターのイメージの関係について検討する。作中などで言及されている性格から浮き上がるイメージを、先行研究などの資料と照らし合わせて比較する。

・調査対象の抽出方法<
90年代以降、週刊少年ジャンプに掲載され、単行本化されたものに限定する。まず、はじめにWikipediaを用いてこの条件に合致する作品を網羅的に調査した。そして、その作品の中から方言ごとにWikipediaでの調査結果による推測の結果を用いていくつかの作品を抽出した。選定の際には、明らかに方言使用キャラクターの活躍・登場回数が少ないであろう作品を除き、作品の入手方法難度や方言特徴の明確さなどを推測し加味した。

・分析の方法
方言使用キャラクターに着目する。分析は、各方言イメージと方言使用キャラクターの性格とを比較する。(福島方言のみ方言イメージの先行研究が見つからなかったため、方言話者の特徴と比較した。)

2.分析対象

分析対象は以下の表1、表2のとおりである。

表1 <分析対象作品一覧>

表2 <分析対象キャラクター一覧>

キャラクター名 作品名 出身地/居住地 性格
1 相田彦一 SLAM DUNK 大阪府/神奈川県 ウルサイ/お調子者
2 遠山金太郎 テニスの王子様 大阪府/大阪府 明るい/野生児
3 平良呉二 アイシールド21 大阪府/大阪府 ふざけている/ノリツッコミが激しい
4 ガウェイン・七海 ライジングインパクト 福島/東京 元気/優しい/陽気/お人好し
5 宇津久島福嗣 ピューと吹く!ジャガー 服仕舞(福島)/凍狂(東京) シャイ/変な人
6 千歳千里 テニスの王子様 九州/大阪 自由人/好奇心が強い
7 橘桔平 九州/東京 真面目/責任感が強い
8 猪里猛臣 Mr.FULL SWING 福岡/東京 温和/影が薄い/超天然野生児


4.班全体のまとめ

調査結果から、方言イメージと方言使用キャラクターには関係があると言える。キャラクターがその方言のイメージすべてに当てはまらないにしても、方言イメージの何か1つを強調することにより、方言イメージをキャラクターに持たせることができる。
また、方言使用キャラクターの中には、イメージから外した性格のキャラクターがいる。これは、漫画のジャンルによるものや、わざと外すことによりトリックスターの役割を持たすためである。この他にもキャラクターの年齢も関係するのではないかと考えられる。
大阪弁と他の方言では、キャラクターに与えるイメージに違いがある。大阪弁ではその方言イメージをキャラクターに持たせるが、他の方言では方言イメージに加え、「田舎」というイメージが与えられる。今回調査したなかでは、特に東北弁にその傾向が強い。田舎者キャラクターには、特にどこの方言と設定するわけではないが、東北弁で使用される「~だべ」「オイラ、オラ」などを使わせる。東北は「田舎」であるという共通認識が日本人にあるためにできることである。
以上の事から、キャラクターへの方言の使わせかたによって、キャラクターに方言のもつイメージを与えることができるといえる。また、漫画での使用率の高い大阪弁とそのほかの方言では、プラスアルファで与えられるイメージに違いがあるといえる。