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国文学科2年 小澤真冬

1. 調査対象作品・キャラクター

班ページの表1<分析対象作品一覧>と表2<分析対象キャラクター一覧>を参照

2. キャラクターイメージとステレオタイプ

表1<キャラクターイメージ>

この表1<キャラクターイメージ>の3キャラクターを台詞や描写などから判断したイメージを金水(2002)によって7種類に分類されたステレオタイプに当てはめた。当てはまる→○ 当てはまらない→× 赤い線で囲ってあるものがステレオタイプに当てはまった項目である。

 

表2<ステレオタイプ>

3. 考察

表2<ステレオタイプ>を見てみるとステレオタイプに完全に当てはまるキャラクターはいなかったことがわかる。今回調査した作品のジャンルは3作品とも中高生を主人公にしたスポーツ漫画というジャンルであったため、どのキャラクターも○がつかなかった項目が3つあった。SLAM DUNKの相田彦一は“おしゃべり好き”という点で、アイシールド21の平良呉二は“冗談好き”という点でそれぞれ大阪弁ステレオタイプが強調されている。今回の調査では、ステレオタイプに完全に当てはまるキャラクターは存在しなかったが、どのキャラクターも7種類のステレオタイプのうちの1種類を強調して描かれていた。また、SLAM DUNKの相田彦一以外のキャラクターは強調されている1種類とは反対方向のステレオタイプをもう1種類を追加した描写がときどき登場することによってトリックスターとしての役割も成立している。リアル方言のステレオタイプと漫画内のヴァーチャル方言のイメージは完全には一致しなかったが、ステレオタイプのうちの1種類が強調されて描かれていたので全く異なるイメージが生まれることはなかった。よって、リアル方言のイメージと漫画内でのヴァーチャル方言のイメージは多少の差異はあるが概ね一致すると考えられる。

参考文献:『国語と国文学』79巻11号東京大学国語国文学会「近代語とステレオタイプ」金水敏 至文堂  2002年