このページのPDFを印刷

6.4 テキスト分析

0312041 平野陽之

6.4.1 電子機器のコミュニケーションツールにて使用される方言の傾向

我々は、電子機器のコミュニケーションツール(メール、LINE、Twitter、ブログ)にて使用される「出身地・生育地とは異なる地の方言(ニセ方言)」の実態について調査した。

「テキスト調査」では、アンケート回答者に「実際に送信したニセ方言を使用した文章」を添付してもらい、集まったデータを基に考察を行った。集まったニセ方言の文章を表1として示す。

表1 集まったニセ方言文章の一例

久しぶり「だわさ」。 名古屋・文末
すぐ行く「が」。 福岡・文末
「あんがとー」。 茨城・単語
「せやね」。 大阪・単語
空気抵抗がないから「あかん」。 大阪・単語
どこで作るのが「ええ」んでしょか。 大阪・単語
教えなかったん「ちゃう」んか。 大阪・単語
後で送る「わ」。 大阪・文末
ゲーセンある「でー」。 大阪・文末
なんで遅刻すん「ねん」! 大阪・文末
「~や」。 大阪・文末
ようわから「ん」。 大阪・文末
待っ「とっ」て。 文末

※「だめだ」→「あかん」のように、地域によって変化するものを「単語」。「なんでや」の「や」のように、文章の最後に付け足す形で使われるものを「文末」とする。

※「~とる」は一般的には近畿地方の方言として知られているものが多いのだが、中部や関東にも確認されているため一概に「どこ」と特定することは難しいので表記しないでおく。

6.4.2 考察

このようにして見ると大阪(近畿地方)の方言が圧倒的に多いということがわかる。

アンケート調査によって、ニセ方言を使う理由は「内容に軽い感じを持たせるため」というものが多いということがわかった。その中で特に大阪弁が多い理由は、テレビ番組をはじめとする各種様々なメディアによって大阪弁が広く一般に認知されているため「使っても意味が通じる」という安心感があるからではないかと考える。

大阪以外の方言で見てみると文末方言が多い理由も「標準語文章+文末方言」とすることで、意味がしっかり伝わるようにするためだと考えられる。

以上のことから、ニセ方言を使う際に重要視されることは「軽い感じを出しつつ、意味がしっかり伝わるようにする。」ということであり、使用者にとって「どこの方言なのか」「正しい用途なのか」ということは重視されていないのではないかと思われる。