0312038 西村真美
0312051 山下良奈
0312156 森真都香
関東の人が持っている関西弁イメージと作品に現れる関西弁を比較し異なる印象、もしくはあてはまる印象を探す。
2000年以降、大阪、京都、兵庫、それぞれを舞台にした方言が作品に使用されている映画に限定する。原作としての小説、もしくはノベライズされた小説と比較し、似たシーンのカッコ付き台詞を映画と小説で突合せ、そこに見られる非共通語を抽出する。
表1 各府県の調査対象作品
ラブ★コン | 大阪 |
---|---|
京都太秦物語 | 京都 |
阪急電車 | 兵庫 |
表2 映画におけるヒーローヒロインの役者とその出身地
作品名 | 役割 | 名前 | 地域 |
---|---|---|---|
ラブ★コン | ヒロイン | 藤沢恵麻 | 香川県 |
ヒーロー | 小池徹平 | 大阪府 | |
京都太秦物語 | ヒロイン | 海老瀬はな | 京都府 |
ヒーロー | USA | 神奈川県 | |
阪急電車 | ヒロイン | 戸田恵梨香 | 兵庫県 |
ヒーロー | 小柳友 | 東京都 |
各作品のキャストに一人ずつその出身地の人が起用されていることがわかる。
今回、取り上げた作品にはヒーローヒロインが登場するため、その二人に着目して調査を行いたい。映画と小説の似たシーンを喧嘩のシーンに限定し、カッコ付き台詞の中に見られる非共通語を分析する。なお、映画のシーンは平均してそれぞれ2分程度に揃えた。
3作品の大阪ステレオタイプと京都ステレオタイプを比較し、それを点数評価したものが下の図である。
大阪ステレオタイプは「冗談好き」「けち」「食いしん坊」「好色」「ど根性」「やくざ」というもので、京都ステレオタイプは「かわいい」「女らしい」というものである。
図6 3作品のステレオタイプとの比較グラフ
図6からは、
ということがわかる。
つまり、全ての作品、キャラクターから大阪ステレオタイプが表れており、“関西方言のステレオタイプ=大阪ステレオタイプ”といえるのではないだろうか。ひいては、私たち関東の人からは“関西弁=大阪弁”というイメージが強いということの裏付けになるのではないかと考える。
このことから、大阪出身者と京都出身者と兵庫出身者に関西弁の印象について2点質問してみた。質問事項は以下の通りである。
対象は、大阪出身者20代女性、京都出身者40代女性、兵庫出身者50代男性である。
回答は自由回答にした。
結果は以下の通りである。
[大阪]
[京都]
[兵庫]
以上のことから、今回は調査人数が少なかったこともあり、一概にこうとは言えないが、関西人が持つ関西弁のイメージは出身地域のイメージが強いようであることがわかった。しかし、おおまかなイメージとしては関東の人と同じく大阪寄りと感じているのではないだろうか。
足立雅代 (2000).「『共通語らしさ』『関西弁らしさ』―『ダ』と『ヤ』と『ネン』―」『甲南国文』,47,25-47 甲南女子大学日本語日本文学会
阿部勉(2010).『京都太秦物語』 新日本出版社
有川浩(2010).『阪急電車』 幻冬舎文庫
井之口有一(1992).『京ことば辞典』 東京堂出版
金水敏(2003).『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』 岩波書店
ココロ直(2007).『ラブ★コン』 集英社
真田信治(2011).『日本語ライブラリー 方言学』 朝倉書店
田中ゆかり(2011).『「方言コスプレ」の時代』 岩波書店
中井幸比古(2002).『京都府方言辞典』 和泉書院
平山輝男(1997).『日本のことばシリーズ 大阪府のことば』 明治書院
堀井令以知(2006).『京都語を学ぶ人のために』 世界思想社
牧村史陽(1979).『大阪ことば事典』 講談社
山本康雄(1984).『大阪ことば事典』 講談社