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5.5.方言使用によってキャラクター性は左右されるか

0312028 高須勇人

熊本弁は九州弁の中でも「華美」「派手」「装飾性が高い」という評価をされており、漫画の中で熊本弁を使うキャラクターは口数が多い、自信に溢れているなど特異な性格付けをされていた。このことから、これは熊本弁の方言イメージによるものではないかによるものではないかと考え、熊本弁の特徴を考察した。

沖縄弁は助詞、名詞、動詞問わず標準語との大きな差異がみられ、その発達した背景やどのような変化を辿ったかについて着目した。また作中沖縄弁を使うキャラクターについて、方言で相手を挑発する一方で心理表現では全く方言を使わないなど、熊本弁とはまた違った取り扱われ方をされていた。その原因が沖縄弁そのものにあるのではと考えた。

5.5.1 調査対象キャラクターと調査範囲

表6 調査対象キャラクターと調査範囲

地域 キャラクター名 対象巻数
熊本 千歳千里(ちとせせんり) 35、36、38
沖縄 甲斐裕次郎(かいゆうじろう) 29、30、31

5.5.2 熊本・沖縄方言の特徴

表7 作中方言使用台詞数(度数)と割合(%)

キャラクター名(地域) 総台詞数 方言使用台詞 使用割合(小数点第一位以下切捨)
千歳千里 161 127 78.8%
甲斐裕次郎 70 28 40%

今回取り扱った千歳の台詞全161台詞中、127台詞で方言使用が認められた。その中では特に『~たい』『~ばい』という語尾表現が頻出した。どちらも同じ意味の言葉だが、今回の調査範囲では総台詞161のうち38箇所と、全体の約4分の1の割合で登場している。

沖縄弁は熊本弁とは違い一見しただけでは意味をくみ取れないような方言が多々あるため、注釈をつけるだとか、心理表現では標準語を使うなどの特別措置が取られた。