表8.『南国少年パプワくん』
表9.『新テニスの王子様』
方言使用率が高いということは方言キャラであることがより前面に押し出されていることになる。したがってキャラクターたちの持つ方言イメージも必然的に強くなるのではないかと推測した上で、方言イメージの調査とその結果の考察を行う。
調査の結果、推測通り、方言使用率が高いキャラクターは方言イメージが強い傾向にあることが判明した。例えば『南国少年パプワくん』のアラシヤマ(京都)の方言使用率は73%で、同作品の中で最も高い数値だった。表 を見ると、「かわいい」「温かい」「女らしい」「優しい」の項目が当てはまっていることがわかる。また武者のコージの「男らしい」「かっこいい」などは田中(2011)の調査結果よりも程度が強い結果となった。
表10.京都 表11.広島
しかし『新テニスの王子様』の木手永四郎(沖縄)のみ、推測を裏切る結果となった。まず方言使用率は3%で、両作品合わせた中でも最も低かった。方言イメージについては「おもしろい」はイメージ通りであったが、沖縄の方言ステレオタイプの代表ともいえる「温かい」や「優しい」などは全く当てはまらなかった。おそらく、同作品で沖縄出身のキャラクターが数人登場する中で個性を強く描き出すために敢えてステレオタイプを外れた人物に描かれたのだと思われる。しかし、唯一方言を使用した場面が相手を挑発するような場面であり、なおかつ「いゃーがな!」という、方言を使用したセリフの隣に括弧書きで「お前がな!」と表記したことで、方言キャラであることは強く印象付けられていたと感じた。
表12.沖縄
方言を使用していない漫画の場合、そのキャラクターを読者に強く印象付けたいという意図の元に方言が使用されているため、方言ステレオタイプが強く反映されている。また方言使用が少ないキャラクターでも、効果的に使用させることでキャラクターをより際立たせている。