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2.4.ドラマ『危険なアネキ』における方言 (井上義幸)

2.4.1 ヒロインのステレオタイプ

表2 ヒロイン「皆川寛子」のステレオタイプ

表2 ヒロイン「皆川寛子」のステレオタイプ

上の表は、ドラマを観て自分が感じたヒロインのキャラクターを○~×で表したものである(○…当てはまる、△…ややあてはまる、×…当てはまらない)。

○方言ステレオタイプとの比較

表3 九州の方言ステレオタイプ

表3 九州の方言ステレオタイプ

表4 『危険なアネキ』

表4 『危険なアネキ』

この二つの表を比較してみて目立った共通点がなかったことから、「危険なアネキ」では「田舎」であるというステレオタイプを使用したと考えられる。

2.4.2 ヒロインの方言使用場面数とセリフの抜粋

○方言使用場面数

ヒロインが話す場面と、その中で方言を使用する回数をカウントした。(※場所が変わった時点で1場面とカウントした。また同じ場所でも時間がとんでいる場合は1場面とカウントした。)

図1 第1話場面数

図2 第6話場面数

図3 最終話場面数

○セリフ抜粋

表5 方言使用セリフ

セリフ 場所 相手 相手の役割 シチュエーション 開始後(分後)
1 「おとっつぁん」 酒工場内 皆川源太郎 弟の入試合格の電話をとった場面 約2分後
1 「うがった」 酒工場内 皆川源太郎 弟の入試合格の電話をとった場面 約2分後
1 「おとっつぁん」 酒工場内 皆川源太郎 心臓発作で倒れた父に声をかける場面 約5分30秒後
1 「どげんしたと」 東京へ向かう飛行機内 CA 飛行機のスタッフ のどに食べ物を詰まらせた客を助けるシーン 約8分後
1 「部屋変わっちょらんけよかった」 勇太郎の家 皆川勇太郎 弟の家に転がり込んでくる場面 約11分30秒後
1 「そげなこと言わんと」 病院 皆川源太郎 入院している父と話す場面 約41分30秒後

2.4.3考察

方言使用が一話に集中しているのは上京の場面が描かれているからだと思われる。中間話、最終話でも数例みることができるが、全てイントネーションの訛りであった。上の表から、方言使用相手は一例を除き全て親族に対するものであった。また深刻な場面(驚いた場面を除く)では用いられていなかった。このように方言は相手によって使い分けられており、重要なことを伝えるシーンで方言は用いられにくいという傾向がこのドラマからは読み取れた。

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