このページのPDFを印刷

7.4.花とゆめ(白泉社)における比較(松崎史緒理)

7.4.1.『幸福喫茶3丁目』と『花ざかりの君たちへ』におけるキャラクターの方言と性格

3人の性格を以下の表に当てはめてみると以下のような結果が得られた。なお、表3と同じく◎がよくあてはまる、〇がまああてはまる、△があまりあてはまらない、×がまったくあてはまらないとし、「冗談好き」から「やくざ」の7種類までが金水(2003)で定義されている大阪弁キャラクターのステレオタイプで、残りの「穏やか」と「照れ屋」は『ラブ☆コン』の中尾平吉と鈴木涼二にあてはまる性格を同じように追加した。

表4 キャラクター性格分析

キャラクター名 冗談好き笑わせ好きおしゃべり好き けち守銭奴拝金主義者 食通くいしんぼう 派手好き 好色下品 ど根性 やくざ暴力団こわい 穏やか 照れ屋
安倍川柏 × ×
安倍川草 × × ×
中津秀一 × × ×

図3 (縦軸の単位は回、キャラクター名の下に使用率、方言使用回数は1つのセリフに複数の方言が使用されていても1回と数える)

図3

図3のグラフを見ると、総セリフ数は花ざかりの君たちへの中津秀一と幸福喫茶3丁目の安倍川草は同じぐらいだが、方言使用率では中津秀一と安倍川柏が同じ結果となった。

図4

図4

図3、図4、表4を含めて、2作品の共通点と相違点を調査した。共通点として、1つ目に使用される方言は語尾につく言葉が多いことがわかる。例えば安倍川柏の「こっちや」「してへんかった」や安倍川草の「誰がサルや」「効かへん」、中津秀一の「どーゆー意味や」「どないすんねん」が挙げられる。2つ目はどの方言も読んでいてわかるものばかりで、わからない大阪弁特有の独特な方言はなかった。

次に2作品の相違点。中津秀一は安倍川草と安倍川柏に比べて方言の種類が多かった。また安倍川柏は大阪弁と京都弁が混じっていた。性格は3人ともステレオタイプに当てはまるものが多い。しかし、大阪弁話者のイメージとして、安倍川柏は少し雰囲気が違うのではないかと考えられた。

ページTOPへ