男性の広島弁キャラクターの印象が方言ステレオタイプと異なった印象になるのか、また、方言ステレオタイプにあてはまるのであればどういった部分で当てはまるのかを検証する。さらにキャラクターの性格や作品の世界観で与えられる役割(=方言によるキャラクターの印象)がどのように異なるのかを比較し、まとめていく。
表4 各キャラクターとステレオタイプの比較
【桐島青大(君のいる町)】
舞台が広島県ということもあり作中のキャラクターは広島弁を話すことが多い。そのため“キャラ付け”としての方言といった使い方ではないように感じた。これはステレオタイプにない素朴という点が表している。
【射場鉄左衛門(BLEACH)】
比較したキャラクターの中で最も「かっこいい」「男らしい」セリフが多いキャラクターとなった。反面「怖い」のスコアがステレオタイプを下回った。出番自体は決して多くないがギャップや見た目のインパクトが強いため、印象に残るキャラクターとなっている。バトルものということもあり、登場キャラクターが多いため“キャラ付け”としての方言という印象が強い。これは表1からも見て取れる。さらに「おもしろい」「素朴」という印象があることでよりインパクトのあるキャラとなっているのではないだろうか。
【ガマブン太(NARUTO)】
ステレオタイプ通りのキャラクターである。親分気質で面倒見は良い。煙管を銜え、腹にさらしを巻き法被を羽織るといった容姿をしている。上からものをいう態度もあり、かなり怖いドスの利いた広島弁で話す。しかし一応主人を気遣ったりする一面もありただ単に怖いキャラクターというわけではない。親分気質、見た目からもどことなく任侠的なイメージを持つ。これが広島弁が持つ怖いという印象にも関係があるように感じる。表1の「怖い」「男らしい」からも見て取れる。
【サカズキ/赤犬(ONE PIECE)】
ステレオタイプに当てはまったキャラクターである。ワンピースにおける海軍では己の正義を信ずるおものとしていることもあり、男らしく、かっこいいセリフが多い。やはりバトルものということもあり、登場キャラクターが多いため“キャラ付け”としての方言という印象が強いため、ステレオタイプなキャラクターとなっているのではないだろうか。
【まとめ】
下記の図1からわかるように「かっこいい」「怖い」「男らしい」が印象の大半を占めている。しかし、そこにプラスした要素があるキャラクターが印象に残りやすくなっているように感じる。ジャンルがバトルものである3人は数多くいるキャラクターの中で印象付けるための“方言”という印象を受けた。だからこそステレオタイプにそったスコアになったのだろう。
図1 各キャラクターの項目別の割合