2023年度
先輩たちの卒業論文のテーマと要旨の紹介

西岡春樹
JRA日本中央競馬会のレースネーミング分析―平地特別競走を比較して―

本稿は、JRA日本中央競馬会が2022年に開催した平地特別競走全908レースのネーミングの特徴を分析するために、構成要素、字数の観点から、クラス・グレード、競馬場ごとの違いについて分析を行った。その結果、構成要素は同じ特徴を持つ競馬場では構成要素の割合も類似すること、クラス・グレード間で使用される要素に大きな違いがあり、重賞と重賞以外で構成要素の割合が異なることを確認した。字数では主に平均字数を調査し、クラスが上がるに連れて平均字数も増加する傾向が見られたが、重賞間では大きな違いはみられなかった。また、全ての競馬場で、重賞の方が字数が多くなっており、重賞と重賞以外によって平均字数が大きく異なるということを確認した。

武藤千紗乃
企業別缶チューハイのネーミング分析―アサヒビール、サントリー、宝酒造に注目してー

日本における上昇中の市場である缶チューハイの内、国内大手酒類メーカーの中でも特に日本初のチューハイブランドを発売したアサヒビール、最も多く缶チューハイを発売しているサントリー、日本初の缶チューハイを発売した宝酒造に注目し、1984年〜2019年までに発売された缶チューハイの商品名を企業ごとの特徴を、文字数、拍数、語種、文字種、構成要素の3つの観点において調査、分析を行った。結果として、企業ごとに軸となる構成要素、主に使用される語種、文字種に加え年代ごとにそれぞれ種類や数を増やし、他社製品との差別化を図っていることがわかった。特に、アサヒビールでは同じシリーズ内で派生商品を展開させること、サントリーはシリーズ名の中に商品の特徴となる語を加え、より多くの情報を一眼で表現していること、宝酒造は2社と比べ商品数が少ないことから1つの主力となるシリーズ商品に様々な語を加え、バリエーションを持たせていることがわかった。

木下はな
ヤンキー言葉の研究―少年マンガからみる男キャラクターの役割語―

日本を代表する少年マンガにおいて、高い人気を誇るヤンキー漫画の代表作、『BE-BOP-HIGHSCHOOL』『ろくでなしBLUES』『今日から俺は‼』と、ヒーローマンガの『僕のヒーローアカデミア』、スポーツマンガの『ハイキュー‼』に登場するキャラクターのセリフを調査、比較をすることで、様々な属性の男キャラクターの役割語を考えるとともに、ヤンキーの言葉遣いの特徴を分析した。人称詞、ai連母音の融合、文末表現の3つの観点において調査を行った。結果として、人称詞の「ヤロウ」「テメエ」の使用、ai連母音の融合、間接助詞としての「よ」の使用は、ヤンキーキャラクターの言葉遣いを象徴するということが明らかになった。これらは、非ヤンキー漫画においても、見られる場面はあったものの、戦闘や試合、言い合いのシーンで、自分を強く見せたいときに多く見られた。用いる人称詞や文末表現などが異なるだけで、強い男を演じることもできれば、真面目な男を演じることもできるということが分かった。

藤井純也
流行歌に見るジェンダー観の違い―人称代名詞に注目して―

昨今、ジェンダーという言葉はよく耳にするが、その意味はあまり明確ではないと感じる。例えば、男らしさ・女らしさなどの意味を示すジェンダーロールという言葉を一つとっても、取り上げる史実や社会構造によって意味が大きく違ってくるだろう。本稿では、ジェンダーという概念をオリコンヒットランキングにおける歴代上位楽曲を男性歌唱楽曲・女性歌唱楽曲に分け、頻出語・人称代名詞・コロケーションという3つの観点を用いて差異や変遷を調査した。結果、それぞれの観点にてジェンダーの差異は見られ、特に人称代名詞においては昨今、男性・女性歌唱楽曲においてジェンダー関係無く同様の語が使われるようになっていることが明らかになった。本稿の結果から、一観点としてのジェンダーを大まかにではあるが明らかにできたのではないかと考える。

五十幡一郎
秋元康の歌詞分析−オリコン週間チャート1位を獲得した曲を対象として−

秋元康が作詞した楽曲のうち、オリコン週間チャート1位を獲得した楽曲を対象に歌詞分析を行い、秋元康の作詞の時代別変化や特徴を調査した。Jポップは「恋愛」にまつわる歌が多いと言われているが、秋元の歌詞の頻出語でも、「好き」や「愛」といった恋愛にまつわる単語が上位にあった。そのことから、秋元もJポップの傾向通り、恋愛にまつわる楽曲が多いと言える。

品詞や語種の調査では、特に大きな時代別変化は見受けられなかった。語種に関しては、外国語の割合など何か変化があるのではないかと予想していたが、そのような結果にはならなかった。

人称代名詞については、昭和期は「わたし」という一人称と「あなた」という二人称が大半を占めていたのに対し、平成以降は「僕」と「君」が多いという結果が出た。

タイプ・トークン比による調査では、数字で見ると、近年になるにつれて語彙の豊かさが低下しているという結果になったが、一方で、一曲あたりの語数は増加していることが判明した。

伊藤和樹
日本大学男子剣道部員における方言意識

日本大学男子剣道部を対象にアンケート調査を行い、日本大学男子剣道部の方言意識について明らかにし、場面別の方言の使用頻度について考察した。

結果として、話している方言は、寮生は41人のうち36人は自身の「生育地」、「出身県」、「高校の県」のいずれかの方言を話していると回答した。5人は標準語を話すと回答した。

通い生は34人のうち21人は自身の「生育地」、「出身県」、「高校の県」のいずれかの方言を話していると回答した。12人は標準語を話していると回答した。1人は「生育地」、「出身県」、「高校の県」のいずれかの方言ではない方言を回答した。

方言の使用頻度では、寮生の多くは「家族に対して」や「友達に対して」方言を使用する頻度が高いという結果であった。通い生は「家族に対して」方言の使用する頻度は低く、「友達に対して」は方言の使用頻度が高いという結果であった。

「目上の人に対して」はどちらも方言の使用頻度は低くなるという結果であった。このことから、方言話者は「目上の人に対して」方言の使用頻度は低くなるということが分かった。

西優輝
ネット小説におけるテキスト分析と傾向把握─ジャンル間での比較─

現在、日本における文芸単行本の売り上げの4割はネット小説由来であるとされている。このネット小説とは、インターネット上において投稿、公開された小説作品のことを指し、現在最も規模の大きなサイトとして、『小説家になろう』グループが挙げられる。今回は、このグループの中でも読むことに主体を置いた『小説を読もう!』の年間ランキングに注目し、ネット小説の文体的特徴や、多岐にわたるジャンル間における差異を明らかにするため、語種・頻出語・品詞といった観点にて調査、分析を行った。その結果、ネット小説においては、ジャンル間での特徴的な違いは見られず、反対にすべてのジャンルにおいて共通した結果を持つということが分かった。

有井紗稀
テレビドラマのタイトル分析―2000年から2022年の連続テレビドラマにおいて―

本編では、2000年以降の連続テレビドラマのタイトルを字種・語種・文字数・拍数に着目して分析を行った。テレビドラマのタイトルはジャンルの影響を大きく受けていることが分かった。タイトルが長くなったり多様になったりしていると感じるのは、伝えたい情報や雰囲気を言語的な観点から考え、名づけられている結果であると考えられる。ジャンルや内容による変化がテレビドラマ枠・放送局に影響し、それぞれの特徴付けがされている。特に日本テレビ・TBSテレビ・フジテレビは変化の中心になっていて、ジャンルや内容の影響に合ったネーミングがされていた。テレビドラマのタイトルは時代とともに変化していることが分かったが、2000年以降はサブタイトルが大きく変化し、自由に名付けられていた。一方でメインタイトルは、ある程度決まった形があり、わかりやすさやキャッチ―さが重要視されていると考えられる。テレビドラマのタイトルは今後もオーソドックスな形を残しつつ、少しずつ多様になっていくことが予想される。

松下侑蒔
話し言葉と書き言葉で使用される接続詞の違い

日常生活の中で自身が話す際に使用している言葉、文章を書く際に使用している言葉、また他人によって公の場や畏まった場面などで話されている言葉、書籍などで使われている言葉など、一概に言葉といっても様々な言葉があり、人はその場面、相手に合わせて言葉を使い分けているであろう。これらの言葉を構成している品詞もさまざまなものがあるが、今回の調査ではこれらのうち接続詞に注目し、話し言葉と書き言葉で使われる語彙のうち主に接続詞にどのような違いがあるのかを調査する。今回の調査では「日本語日常会話コーパス(CEJC)」と「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」から、それぞれ日常的に使われる話し言葉と書き言葉の例を元に分析を行った。話し言葉については会話の形式ごとに、書き言葉についてはレジスター(言語使用域)ごとにデータの収集、調査を行った。話し言葉と書き言葉、それぞれの中で似た接続詞が多く使われていたが、話し言葉と書き言葉で比較をすると似通った接続詞が多いとは言い切れない結果となった。

日本大学文理学部国文学科田中ゼミ集合写真