0312068 笠田拓也
今回の調査において対象としたデパートは、中央通りの松屋銀座と、晴海通りの阪急 MEN'S TOKYO、ルミネ有楽町、銀座三越、西銀座通りと並木通りの間に挟まれたプランタン銀座の5つである。
調査方法は、それぞれのデパートに設置されているパンフレットを入手し、別冊で外国語版を用意しているものがあればそれももらってくる。入手完了したパンフレットと、またそれぞれの店舗のHPから読み取れる外国人向けサービスについて調査した。
まずは外客について調べた。
中国からの訪日が上昇傾向にあり、韓国はそれを大きく上回る訪日来数だった。アメリカを調査対象としたのは、世界共通語である英語圏の代表的な国であったからというだけである。11年に大幅に減少傾向があるのは、東日本大震災の影響のためであるが、翌年からは上昇傾向にある。このグラフから果たして外国人向けサービスにどのような影響がでてくるか。
グラフ1 近年の訪日外客数の推移
出典:日本政府観光局(JNTO)表1 今回入手したパンフレットの作成日一覧
松屋銀座 | 阪急MEN`S TOKYO | ルミネ有楽町 | 銀座三越 | プランタン銀座 | |
---|---|---|---|---|---|
日本語版 | 2013.9 | 2013.8 | 2013.11 | 2013.9 | 2014.1 |
外国語版 | 2013.9 | 2013.12 | - | 2013.9 | 2014.1 |
※プランタン銀座については、追加データのため今年のパンフレット情報を掲載
調査対象であるデパートの中で、ルミネ有楽町だけ外国語版パンフレットを用意していなかった。それぞれのデパートがどの言語に対応しているのかを調査した。
表2 各デパートの使用言語表
松屋銀座 | 阪急MEN`S TOKYO | ルミネ有楽町 | 銀座三越 | プランタン銀座 | |
---|---|---|---|---|---|
英語 | ● | ● | ● | ● | ● |
中国語(繁) | ● | ● | - | ● | - |
中国語(簡) | ● | ● | - | ● | - |
韓国語 | ● | ● | - | ● | - |
フランス語 | - | - | - | - | - |
〔凡例〕●:使用 -:未使用
※ルミネ有楽町は日本語版の表紙に英語が用いられていたので言語としてカウントした。
表2からわかるように、外客に対する、とくに世界共通語である英語はどのデパートも対応しており、さらに松屋銀座、阪急MEN'S TOKYO、銀座三越は中国人、韓国人にまで視野を広げてサービス提供の便宜に努めている。
外客に対しての代表的なサービスの一つとしては免税サービスが思い浮かぶ。そこで、調査対象であるデパートにおける免税サービスの有無を調べた。
表3 免税サービスの有無
パンフレット | ホームページ | 店内 | |
---|---|---|---|
松屋銀座 | ● | ● | ● |
阪急MEN`S TOKYO | ● | ● | ● |
ルミネ有楽町 | - | × | - |
銀座三越 | ● | ● | ● |
プランタン銀座 | - | ● | - |
〔凡例〕●:有 -:無
ルミネ有楽町のみ免税サービスを実施していなかった。これは、外国版パンフレットを用意していないことなどを考慮するとルミネ有楽町は外客に対してあまり狙いを定めていないことが窺える。
次に通訳の有無を調査した。
表4 通訳の有無
有無 | 英語 | 中国語 | 韓国語 | |
---|---|---|---|---|
松屋銀座 | 無 | - | - | - |
阪急MEN`S TOKYO | 有 | ● | ● | - |
ルミネ有楽町 | 無 | - | - | - |
銀座三越 | 無 | - | - | - |
プランタン銀座 | 無 | - | - | - |
〔凡例〕●:適応 -:無
阪急MEN'S TOKYOにのみ見受けられた。
どのパンフレットにもピクトグラムの使用が目立っていた。外国版のパンフレットにおいてはピクトグラムの使用はあったが、日本語版と違いフロアマップの使用がないためかあまり目立たなかった。
・以下の項目に当てはまるものが一つあれば、それぞれ1ポイントとして加算していく
合計7ポイントでカウントする。
グラフ2
ルミネ有楽町以外のデパートは外客に対して力を入れている。近年の訪日来数及び期待値から、中国語と韓国語の使用は外客のニーズに応える形で増加、定着していったと考えられる。ピクトグラムについて、フロアマップの使用がないためか外国語版においてはその使用量は少なかった。フロアマップの不使用については、一つのパンフレットにおいて数か国語の表記をしなければならないために省略したものと考える。英語は世界共通語の意味合いを持ち、中国語、韓国語の使用については訪日来数が多いことも含めて、日本がそれぞれの国と密接な経済的・商業的関係があると考えられるからであり、また発展にむけてこれらのサービスに力を入れていると考えられる。