0311033 丹野 聖也
調査対象は、図1の黒枠で示した範囲内の、ビル横に取り付けられている縦看板である。具体的には写真1のような看板を指す。収集したデータを基に、文字種、使用言語で分類し、通りごとに見ていくことで、銀座という土地特有の看板の役割を考察する。なお、言語・文字種の判定は、看板でもっとも大きな文字で書かれているものに限定する。
図1 調査範囲
図2 縦看板の例
今回調査した看板の総数は283枚であり、調査範囲を図2のように6等分して、区分ごとの看板総数をグラフにしたものが図3である。
各区画で使用されていた文字種をまとめると表1のようになる。
表1 各区画で使用されていた文字種別看板数(枚)
日本語(ひらがな) | 日本語(カタカナ) | 日本語(漢字) | アルファベット | 複合 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
中央1 | 3 | 4 | 5 | 10 | 12 | 34 |
中央2 | 2 | 3 | 5 | 19 | 17 | 46 |
中央3 | 2 | 4 | 7 | 22 | 13 | 48 |
中央4 | 4 | 5 | 8 | 18 | 22 | 57 |
晴海1 | 2 | 7 | 9 | 18 | 17 | 53 |
晴海2 | 3 | 6 | 10 | 12 | 14 | 45 |
合計 | 16 | 29 | 44 | 99 | 95 | 283 |
表2 各区画で使用されていた言語別看板数
日本語 | 英語 | その他 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
中央1 | 29 | 4 | 1 | 34 |
中央2 | 46 | 8 | 1 | 45 |
中央3 | 37 | 9 | 2 | 48 |
中央4 | 48 | 8 | 1 | 57 |
晴海1 | 43 | 10 | 0 | 53 |
晴海2 | 38 | 7 | 0 | 45 |
合計 | 217 | 61 | 5 | 283 |
自分は中央通りはアルファベット表記が多く、晴海通りは日本語表記が多いのではないかと想像していたが、通りごと、及び区画ごとでの差はあまり無いようである。
アルファベット表記だった看板の中で、中央通りは「GINZA」のように日本語をアルファベット表記にしたものが多く、晴海通りは英語が使用されている看板が多いということだった。当初、晴海通りのほうが英語が使用されている看板が少ないのではないかというイメージだったのだが、数こそ少ないものの中央通りとあまり変わらないのだということがわかった。
看板に使用されている言語自体に大きな差はなかった。
中央通りと晴海通りの差を挙げるならば、やはり日本語をアルファベット表記にしているかしていないか、要するに外国人を意識しているかしていないかの差ではないだろうか。
そして、日本人に対しても銀座という土地が持つ高級なイメージを利用して、縦看板に銀座という文字を入れることで、それぞれの店舗の高級感を演出しているのだろう。銀座の文字や店舗名をわざわざアルファベット表記にするのは、そういった高級感を出すのにも使われているのだと思う。
ただ、いまだ晴海通りのみならず、中央通りにも日本語のみの縦看板が数多くあるところをみると、街全体が高級感を押し出そうとしているわけではないことがわかる。アルファベットの縦看板が新しさの象徴で、日本語のみの看板が昔ながらの古さを象徴しているならば、新しさと古さが良い具合に融合している街が銀座であり、魅力の一つなのだろう。