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4.3.ファストファッション

0312013 小野美緒

4.3.1 はじめに

5店舗のファストファッションを調査した結果、海外ブランドと国内ブランドでサービスの内容が大きく異なっていることがわかった。5店舗のうち海外ブランドはGAP(アメリカ)、H&M(スウェーデン)、ZARA(スペイン)の3店舗。国内ブランドはUNIQLO、GUの2店舗である。このように調査店舗を二分し、調査項目を比較する。

4.3.2 海外ブランド

表5 調査項目

価格表示 店内放送(テープ) 店内放送(臨時) 試着室 レジ周辺 免税 その他
GAP × × × × ×
H&M × × × ×
ZARA × × × ×

※あり→〇、無し→×

表6.使用言語(数字は使用順)

中(繁) 中(簡) その他
GAP - - - -
H&M - - - -
ZARA

表5を見ると価格表示とレジ周辺のサービスは3店舗とも該当しているが、それ以外の項目は店舗によってばらつきがある。免税については、レジ周辺にクレジットカードのロゴ表記があるものの、特に目立ってサービスを行っている様子は見受けられなかった。

表6の使用言語については、英語が一番多く使用されている。しかし、英語表記は日本人でも読める簡単なものであり、特別外国人旅行者を意識したものではない。このことから、ここでの英語表記はオシャレ感を演出するために使用されていると言える。ちなみに、ZARAの中(繁)、韓、その他(ローマ字、ハングル)はタグの製品表示にのみ使用されていた。ZARAは世界に1600店舗以上を出店しているため、全世界に発送する商品のタグにはより多くの言語を使用しているのだと言える。

4.3.2 国内ブランド

表7.調査項目

価格表示 店内放送(テープ) 店内放送(臨時) 試着室 レジ周辺 免税 その他
UNIQLO 〇(女性) 〇(女性) ×
GU × 〇(女性)

※あり→〇、無し→×

※店内放送の括弧書きは放送の声の性別。

表8.使用言語(数字は順番)

中(繁) 中(簡) その他
UNIQLO 1 2 3 - 4 -
GU 1 2 3 - 4 -

表7を見ると両店舗とも調査項目のほとんどを実施していた。店内放送に関しては調査中に放送されていなかったので×としたが、別の時間帯であれば放送されている可能性がある。

表8によると、日本語が一番多く使用されているが、内容によっては複数の言語が使用されていた。GUは特にそれが顕著で、両替、ジーンズの裾上げ・色移りについての表示に関しては3~4種類(日・英・中(繁)・韓)が使用されていた。

海外ブランドに比べると国内ブランドは外国人旅行者に対するサービスが充実している。年々増加している外国人旅行者に自社を売り込むためにこのようなサービスに力を入れていると言える。

4.3.3 考察

海外ブランドは外国人旅行者に対して特に目立ったサービスは行っていない。使用言語も限られており、それよりも日本人に対するサービスを充実させている。例えば、H&Mは不要になった服の回収活動を行っている(図1)。店内には回収ポストや案内パンフレットが設置されている。これは旅行者よりも日本人を対象としているサービスだと言える。また、学生限定の割引サービスも時折行っているようである。

図1 服の回収活動パンフレット(H&M)

図1 服の回収活動パンフレット(H&M)

対して国内ブランドは様々なサービスを率先して行っており、重点を置いているサービスには2種類以上の言語を使用する傾向がある。特に近年増加している中国人・韓国人旅行者に対処するためのサービスが充実している。

図2 外国語表記(UNIQLO)

図2 外国語表記(UNIQLO)

図3 中国語表記(UNIQLO)

図3 中国語表記(UNIQLO)

以上のことから、各ブランドにおける「外国人」の定義に違いがあると言える。海外ブランドから見る「外国人」とは日本人または日本在住の人々、国内ブランドから見る「外国人」は日本以外の国々からの旅行者と定義づけられる。「外国人」の定義が違えば、自ずとサービスも異なってくる。そうなれば今後の世相によって「外国人」の定義は変化し、それによってサービスや言語表記も変化してくると予想もできる。

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