0312026 杉野雄基
0312059 磯田響子
銀座(中央区)に出店されているアンテナショップ21店舗を調査し、それぞれの実店舗で方言は使用されているかどうか、使用されている場合それらに規則性はみられるか考察する。調査の対象となる項目は以下のとおりである。
アンテナショップ各店舗の店頭にあらわれる方言について調査した。
(方言使用のないサンプルについてもカウントする。なおカウントは延べ語数によるものとする。)
サンプル例
図1 店名
図2 ポスター
図3 pop
図4 のぼり
図5 看板
担当した9店舗中4つの店舗で方言の使用が確認された。
表1 店舗ごとのサンプル数中の方言使用数とその率
出店元地域 | サンプル数中の方言使用数 | パーセンテージ |
---|---|---|
北海道 | 3/10 | 30% |
青森 | 0/8 | 0% |
新潟 | 0/9 | 0% |
山梨 | 1/6 | 16% |
三重 | 1/6 | 16% |
京都 | 1/9 | 11% |
奈良 | 0/8 | 0% |
島根 | 0/6 | 0% |
山口 | 2/7 | 28% |
確認された方言を以下に記載する。
とうきび(北海道、名詞)なまら(北海道、副詞)だべさ(北海道、文末表現)
よってけし(山梨、あいさつ表現)ほんまもん(京都、名詞)おいでませ(あいさつ表現)
表2 方言の品詞とその数
あいさつ表現 | 文末表現 | 名詞 | 副詞 |
---|---|---|---|
2 | 2 | 2 | 1 |
あいさつ表現が使用されているのは、調査前にたてた予想通りの結果となった。「いらっしゃいませ」の表現が各地方の方言でいい表わせるとしたら、客を引き寄せるのにはわかりやすいだろうと思ったからだ。次に多かったのが文末表現である。考えてみれば文末は名詞に比べて直接意味に関係しないため、より気軽に地域色を出すことができる。調査前にはあまり強く意識していなかったが、文末表現が多く使用されるのは当然であったように感じた。
調査を行った21店舗中8店舗(38%)の店頭で方言の使用が確認された。調査を行った段階では、方言使用のサンプルが予想よりもはるかに少なかったように感じたが、割合で表してみるとおよそ40%と決して少なくない使用率だったことがわかり驚いた。
今回の調査で見られた方言を品詞別に分類したところ、あいさつ表現(多くが「いらっしゃいませ」の意)が31%と多くみられた。次に多く見られたのは文末表現であった。これは考察でも述べたとおり、地方色をわかりやすく演出するための装置として文末表現が優秀であると考えられるためであろう。
しかしやはり方言使用は半数以上の店舗で見られていない。これは各店舗ともあくまで都内(銀座)出店を考え、関東圏に住む人々をターゲットにとらえているために、方言の使用があまり見られなかったのではないか、と考える。恐らくこれが「各地域の土産物店に見られる方言」の調査であったなら結果は変わったのではないか。郷に入っては郷に従え。関東圏では関東の言葉を。地域色は言葉ではなく各地域の特産品で演出されているように感じた。
担当した11店舗中4つの店舗で方言の使用が確認された。
表3 店舗ごとのサンプル数中の方言使用数とその率
出店元地域 | サンプル中の方言使用数 | パーセンテージ |
---|---|---|
函館(北海道) | 0/5 | 0% |
岩手 | 2/8 | 25% |
山形 | 0/4 | 0% |
福島 | 0/3 | 0% |
茨城 | 0/6 | 0% |
群馬 | 0/2 | 0% |
福井 | 0/5 | 0% |
広島 | 2/3 | 33% |
高知 | 4/5 | 80% |
熊本 | 0/6 | 0% |
沖縄 | 2/4 | 50% |
見られた方言のまとめは以下のとおりである。
おでんせ(岩手、あいさつ表現)じぇじぇ(岩手、感動詞)たう(広島、動詞)
ぶち(広島、副詞)~やき(高知、文末表現)~なが(高知、文末表現)
まっこと(高知、副詞)めんそーれ(沖縄、あいさつ表現)わした(沖縄、代名詞)
表4 方言の品詞とその数
あいさつ表現 | 副詞 | 文末表現 | 動詞 | 代名詞 |
---|---|---|---|---|
2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
品詞としては感動詞が多く見られた。表現としてはやはりあいさつ表現が多く(沖縄・めんそーれ、岩手おでんせなど)調査前の予想通りの結果となった。また岩手の立て看板にはNHK連続ドラマ「あまちゃん」で全国に広く知れ渡り、2013年の流行語大賞にも選出された『じぇじぇじぇ』を起用するなど、やはり訪れた客が親しみを感じやすいような工夫が施されているように感じた。次点は副詞と助詞、そして動詞と代名詞という結果になった。21店舗中店名に方言を利用しているのは広島と沖縄のわずか二店舗であり、そのうち沖縄の店名である<わした>には唯一の代名詞が使用されていた(わたし、わたしたちという意味)。
方言の使用が見られた店舗の所属する地方に目を向けてみると、東北勢、関西~九州勢の方言の利用が多くみられ、関東で方言を使用しているのは山梨県一県のみとなった。しかし山梨県は関東に含まれるのかというと、行政上の区分は関東、地理上の区分は中部地方、と何とも微妙な位置に属している。
これは銀座という東京の中心地にアンテナショップが出店していることにも理由があるのだろう。標準語を使用している東京においてより強い印象を残すのはやはり九州、東北など標準語とは違うイントネーションの言葉である。そういった言葉を、店舗名や売り出したい商品のポスター、POPなどここぞというときに使用することによって、アンテナショップに訪れる標準語圏の人々の関心を引き付けているのではないか、だからこそのこの東北・九州勢の方言使用率の高さではないかと推測した。
今回調査した21店舗を総計すると、サンプル数は119、そのうち方言の使用が見られたサンプルは17だったため、割合としては約14.3%とやや少ないような印象を受けた。だがサンプル数でなく店舗数の面から見てみるとその数は21店舗中8店舗、およそ40%の店舗で方言の使用が見られたことになる。これは調査中に感じた方言を使用しているサンプル数の少なさからは思いもよらない意外な結果となった。方言の使用が見られた店舗の所属する地方に目を向けてみると、東北勢、関西~九州勢の方言の利用が多くみられ、関東で方言を使用しているのは山梨県一県のみとなった。これは銀座という東京の中心地にアンテナショップが出店していることにも理由があるのだろう。しかしやはり方言使用は半数以上の店舗で見られていない。これは各店舗ともあくまで都内(銀座)出店を考え、関東圏に住む人々をターゲットにとらえているために、方言の使用があまり見られなかったのではないか、と考える。恐らくこれが「各地域の土産物店に見られる方言」の調査であったなら結果は変わったのではないか。地域色は言葉ではなく各地域の特産品で演出されているように感じた。また、標準語を使用している東京においてより強い印象を残すのはやはり九州、東北など標準語とは違うイントネーションの言葉である。そういった言葉を、店舗名や売り出したい商品のポスター、POPなどここぞというときに使用することによって、アンテナショップに訪れる標準語圏の人々の関心を引き付けているのではないか、だからこそのこの東北・九州勢の方言使用率の高さではないかと推測した。
また、今回の調査で見られた方言を品詞別に分類したところ、使用されている方言の品詞として一番多くみられたのは感動詞で、表現としてはあいさつ表現が31%と大きな割合を占めていた。(ほとんどが「いらっしゃいませ」の意)あいさつ表現が使用されているのは、調査前にたてた予想通りの結果となった。「いらっしゃいませ」の表現が各地方の方言でいい表わせるとしたら、客を引き寄せるのにはわかりやすいだろうと思ったからだ。次に多く見られたのは文末表現であった。これは地方色をわかりやすく演出するための装置として文末表現が優秀であると考えられるためであろう。21店舗中店名に方言を利用しているのは広島と沖縄のわずか二店舗であり、そのうち沖縄の店名である<わした>には唯一の代名詞が使用されていた(わたし、わたしたちという意味)。また、各店舗のHPには方言の使用は全く見られなかった。(2014年12月19日最終閲覧)
[Lets Enjoy Tokyo](2013年12月19日最終閲覧)
[Wikipedia](2014年1月15日最終閲覧)