日本大学文理学部国文学科

1章 ホーム
1.7.ホームにおけるアナウンス
国文学科2年 牧野弘侑

1.調査項目

山手線・駅ホーム上において放送される、録音音声・肉声を用いたアナウンス音声についての調査を行った。また、それらの繰り返し、放送内容の差異なども調査観点に含める。 今回調査対象としたのは、日暮里駅を除く山手線の各駅、全28箇所。

2.調査結果

表.各駅の調査結果一覧
駅名 他言語 放送順序 繰り返し(録音) 繰り返し(人の声)
新宿 × 日本語のみ
代々木 × 日本語のみ
原宿 × 日本語のみ
渋谷 × 日本語のみ 2回
恵比寿 × 日本語のみ 2回
目黒 × 日本語のみ 2回
五反田 × 日本語のみ
大崎 × 日本語のみ
品川 × 日本語のみ 2回 2回
田町 × 日本語のみ 2回
浜松町 × 日本語のみ 2回
新橋 × 日本語のみ 2回
有楽町 × 日本語のみ
東京 × 日本語のみ
神田 × 日本語のみ アナウンス無し
秋葉原 × 日本語のみ
御徒町 × 日本語のみ アナウンス無し
上野 × 日本語のみ アナウンス無し
鶯谷 × 日本語のみ アナウンス無し
日暮里 未調査 未調査 未調査 未調査
西日暮里 × 日本語のみ
田端 × 日本語のみ
駒込 × 日本語のみ アナウンス無し
巣鴨 × 日本語のみ
大塚 × 日本語のみ 2回 アナウンス無し
目白 × 日本語のみ アナウンス無し
池袋 × 日本語のみ 2回
高田馬場 × 日本語のみ 2回
新大久保 × 日本語のみ 2回 アナウンス無し

1.放送の他言語化の有無について

ホーム上のアナウンスについては他言語を取り入れている駅はない。事実上、他言語を取り入れたホームアナウンスは存在しないということになる。これは駅構内に存在する他言語による案内表示や、ホーム上に設置された案内板にローマ字表記で駅名が記載されていることもあり、放送で目的地や勧告を行う必要性が薄いからであると思われる。人の声によるアナウンスに他言語がないのは、英語だけで考えても、普段使いこなしていない人間にアナウンスなどを行わせると、教育する為の時間がかかり、また個人差が出てしまうなど駅員個人の能力に左右され、均一化できないからであろう。

2.放送の繰り返しの有無について

録音音声を繰り返していた駅に共通する点は、『他線と接続している駅』である。乗り継ぎが行われる為に乗り降りする人間が増えるので、同じ内容を続けて流すことで聞き逃しの無い様にすることが目的かと思われる。

人の声によるアナウンスに関しては、調査時は前述の8駅でのみしか確認できなかったが、ドアが閉まる際など『その場における注意』が主であり、その場でアナウンスを担当している駅員の裁量にある程度任されているような感を受ける。人の声によるアナウンスが存在しなかった駅も数箇所存在しているが、こちらは特に統一性は無く、単純に調査時にアナウンスを担当する駅員が居ない時間帯であったりするだけであると思われる。(混雑時には、ホーム上に駅員が出ていて駅員室に人が一人も居ない状況が発生するような場合もある為、人手を割いていないだけとも考えられる。)

3. 考察

ホーム上アナウンスは日本語以外の言語を確認できず、繰り返しにも日本語しかないということは、放送を聞き逃した日本人のために行われているようだ。つまりホーム上に流れる放送は、現段階では日本語を理解できる人間にしか理解できず、海外からの旅行客には少し厳しい対応であるかもしれない。しかし、車内の放送には英語が含まれていたり、案内表示などにも他言語が含まれていたりすることである程度はカバーされている。

実際に放送には英語を始めとする他言語が含まれない理由として考えうるのは、「まもなく〜」の放送は比較的余裕があるが、到着・出発時は人の声によるアナウンスも入るため繰り返している時間が足りない、などの理由である。