日本大学文理学部国文学科

4章 電車内
4.3. 電車内アナウンス
国文学科2年 関瑞穂

1.調査項目

今回は山手線沿線の多言語化状況についての調査ということで電車内アナウンスに着目して調査を試みたが、山手線の車両のみに限定してしまうと各駅の違いなどがあまり見つからず調査が広がらないため、電車内班4人のみ比較用に他社線4本も調査した。

※調査対象の他社線
・京王線(新宿接続)
・京王新線(新宿接続)
・小田急線(新宿接続)
・東武東上線(池袋接続)

この比較用他社線は電車内班メンバー各自の普段利用している駅・自分の家の近くにある駅を通っている線で山手線に接続しているものとし、各駅停車の車両に限定した。

2.調査結果

以下の表が山手線と他社線のアナウンスを比較した表である。

表1 各線のアナウンスでの英語対応状況

線名 英語アナウンス 日本語アナウンス
山手線
京王線 ×
京王新線 ×
小田急線
東武東上線 ×

※自動:自動アナウンス。テープ録音されているものが流れる場合
人の声:人によるアナウンス。人がその場で直接アナウンスをした場合

山手線と小田急線のみが日本語アナウンスの他に英語でもアナウンスをしている。この二線をさらに比較してみた。

表2 自動アナウンスと人の声のアナウンス

線名 自動アナウンス 人によるアナウンス
山手線 日本語・英語 日本語
小田急線 日本語・英語 日本語

※自動アナウンス:テープ録音されているものが流れる場合
人によるアナウンス:人がその場で直接アナウンスをした場合

表2から山手線・小田急線ともに自動アナウンスでしか英語に対応していないことがわかる。ここで注目したいのが他の比較線(京王線・京王新線・東武東上線)は主なアナウンスが人の声によるものだったことである。このことが英語アナウンスに対応していない理由の1つとして考えられるだろう。

3. 考察

電光掲示板などで流れる乗り換え案内や電車内の注意書きなどは京王線等の他社線でも対応していたのに対し(4章1節 電車内掲示板・3節 車内注意表示を参照)アナウンス音声は多言語化対応が少し遅れているようだ。また、英語の車内アナウンス音声は自動音声によるもののみだった。山手線ではほとんどが機械による自動アナウンス音声だったのに対し、他社線は人の声によるアナウンスが多い。山手線でも他社の私鉄線でも人の声でのアナウンスは英語に対応していないため、他社線においてはそのことも他の言語に対応していない理由のひとつだろう。

今回の調査において、駅のホームや構内ではかなりの多言語化が見られた。しかし、電車内でアナウンスされる日本語以外の言語は英語のみである。しかも、英語に対応していない線もまだまだたくさんある。この調査で1番強く感じたことは音声での日本語以外の言語への対応が非常に遅れているということだった。これからは日本、特に東京に外国語話者がさらに増えてくると予想される。JR福知山線のような事故がいつ起こるともわからない。自動音声だけでは間に合わない状況も出てくるはずだ。そのため、もっと多言語に対応したアナウンス音声が必要とされるだろう。