銀座にあるファストファッション店を海外ブランドと日本ブランドに分け、そのブランドの本拠地によって言語サービスがどう違うのか、というところに重点を置いて比較する。海外ブランドと日本ブランドの内訳は、以下のようになる。
海外ブランド | 日本ブランド |
---|---|
GAP(アメリカ合衆国) ZARA(スペイン) H&M(スウェーデン) |
GU UNIQLO |
これは調査対象とした店舗入り口・店内の掲示物のうち、日本語、英語、中国語、韓国語のどの言語が使われていたかを示す表である。ロゴ、店名で使用されていた場合には数には加えない。またカッコ内の数字は実際に調査対象とした掲示物の数である。
表1 店舗ごとの掲示物における各言語の使用率
日本語 | 英語 | 中国語 | 韓国語 | |
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GAP(11) | 82% | 91% | 9% | 9% |
ZARA(8) | 63% | 100% | 0% | 0% |
H&M(8) | 75% | 75% | 0% | 0% |
日本語 | 英語 | 中国語 | 韓国語 | |
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UNIQLO(17) | 94% | 65% | 24% | 18% |
GU(12) | 92% | 67% | 17% | 0% |
海外ブランドでは中国語、韓国語の使用はほとんどなく、日本語・英語の使用が多い。また、英語使用は日本語使用と同じか、それよりも多いこともわかる。それに対して日本ブランドは日本語、英語の使用率も増え、中国語、韓国語の使用も増えた。
海外ブランドでも日本ブランドでも、日本以外の国の利用者のことも考えての多言語サービスを観察することができた。しかしそのあり方には少し差があるように思える。海外ブランドは海外からきて日本にわざわざ来て店舗を展開しているため、基本的には日本人客を対象としている。だから店内で使用されている言語は英語であっても、それは単語であったり多くの日本人が理解できるような簡単なものだ。そして、多くの人に伝えるべき店のサービスに関しては多言語で表示してある。それに対して日本ブランドは、会社の方針から「グローバル」を念頭に海外からの観光客を意識しているため、多言語でのサービスが多く見られた。