このページのPDFを印刷

第6章 飲食チェーン店の言語使用―銀座と池袋を比べて―

6.4.居酒屋における個別分析とその考察(布施加奈子)

銀座と池袋の居酒屋5店舗ずつ、計10店舗で、銀座と池袋の違いや店ごとの違いについて調査項目を比較する。

図4. 池袋の和民

図4. 池袋の和民

図5. 銀座の和民

図5. 銀座の和民

銀座と池袋で使用言語の差はあまり見られなかった。しかし、臨時的掲示物の数に関しては銀座の方が少ないことがわかり、高級感やおしゃれな雰囲気の「銀座らしさ」を損なわないようにしていると考えられる。銀座と池袋の店舗でロゴや使用言語に違いが見られたのは和民のみだった。写真と写真で比べてみると、池袋では黒地に白のロゴであるのに対し、銀座ではボルドーの地に金のロゴで、書体にも違いがみられる。

表3. 外国語メニューの有無

さくら水産 庄や 土間土間 和民 わん
銀座 × × × ×
池袋 × × × ×

あり→○、なし→×

図6. わん銀座店の外国語メニュー(日・英・韓・中簡)

図6. わん銀座店の外国語メニュー(日・英・韓・中簡)

図7. わん銀座店の外国人向けのチラシ

図7. わん銀座店の外国人向けのチラシ

わんの銀座店、池袋店のみが外国語メニューをおいていることが分かった。わん銀座店の外国語メニューを見ると、英語、中国語、韓国語が使われていることがわかる。また、写真 のチラシは、外国人客向けに英語で書かれたもので、わん銀座店にのみ置いてあるものだそうだ。これは、わんを運営しているオーイズミフーズが「地域密着化」をキーワードに地域に根ざした運営を目指しているからであると考えられる。

池袋と銀座での違いはあまり見られず、店舗ごとの違いがみられる結果になった。外国人客への配慮が見られたわんは、日本独特のわびさびをコンセプトにした居酒屋で、比較的安い値段で日本料理や雰囲気を楽しめることもあって外国人客に人気があるのではないかと思った。

ページTOPへ