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第3章 ファストファッション店の言語サービスの違い

3.3.掲示内容と使用言語について(小川遼)

3.3.1.調査概要

  • ・銀座にあるファストファッション店にある掲示物、あるいは配布物に使用されている言語について比較し、どこにどのような言語を使用しているのかを調査する。
  • ・調査店舗はUNIQLO、GU、GAP、ZARA、H&M。
  • ・調査対象は、営業時間表示、フロアガイド、「試着室」表示、価格表示、配布物とする。

3.3.2.調査結果

表1 UNIQLOの言語サービス *数字は使用言語順とする

日(漢字) 日(片仮名) 英語 中(簡体字) ハングル
営業時間 表記なし
フロアガイド
試着室
価格表示
配布物(チラシ) ○(平仮名有) 単語のみ
(フロアマップ)

表2 GUの言語サービス

日本語(漢字) 日本語(カタカナ) 英語 中国語(繁体字) ハングル
営業時間 表記なし
フロアガイド
試着室
価格表示
配布物(チラシ) ○(平仮名有)

表1,2からわかることは、主に英語、日本語が使用されているわけだが、使用数は少なくとも中国語、ハングルも表示されているということだ。表記形式、内容に差はみられるが多言語表記されていることに違いはない。

表3 GAPの言語サービス

日本語(漢字) 日本語(カタカナ) 英語 中国語(簡体字) ハングル
営業時間
フロアガイド
試着室
価格表示 値段のみ
配布物(クーポン) ○(平仮名有)

表4 ZARAの言語サービス

日(漢字) 日(片仮名) 英語 中(簡体字) ハングル
営業時間
フロアガイド
試着室
価格表示
配布物 表記なし

表5 H&Mの言語サービス

日(漢字) 日(片仮名) 英語 中(簡体字) ハングル
営業時間
フロアガイド
試着室
価格表示
配布物 表記なし

表3~5からわかることは、中国語、ハングルの使用がなく、英語、日本語の使用が目立つ。しかし、英語と言っても使用されているのは主に単語であり、日本人が見てもわかる表記内容である。文として外国人に向けたメッセージのようなものは調査対象からは見られなかった。

3.3.3.考察

多くの店舗で英語表記が目立ったと書いたが、その大半が単語表記であり、英語話者に対する表記とは若干言いにくい。単語であれば日本人でも大半の人が理解できる。つまりこれは英単語をおしゃれ感覚、あるいはロゴ感覚で使用しているのではないかと考える。もちろん「FITTINGROOM」やチラシなどの「MEN、WOMEN」などの表記をおしゃれ感覚やロゴ感覚というのは少し違うという意見もあるとは思うが、「洋服」を売っているのだから日本語の漢字で表記するよりも英単語の方が格好がつくと言えるのではないだろうか。日本人対象ではなく外国人対象だと思われる表記は今回の調査対象からはあまりみられなかったが、世界共通語の英語が書かれていれば、それも最もわかりやすい英単語が書かれているならば日本人でも中国人でも韓国人でも自国の言語がなかったとしてもある程度は伝わるだろう。そういう点からみても英語表記が多いことは妥当だといえるのではないだろうか。

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