三川町のお礼のあいさつの使い分けについて
国文学科3年 杉本 育美
1.概要
山形県三川町でのお礼のあいさつの使い分けがどのようになされているのかについて、アンケートを用い調査を行った。
設問は以下のとおりである。
Ⅶ.贈り物をいただいてお礼をいう場合、「ありがとう」の部分をどのように言いますか。
1.ありがとうございます 2.ありがとござります 3.ありがとう 4.ありがと 5.もっけだのぉ
6.もっけです 7.もっけでございます 8.その他 9.当てはまる人がいない
以下のそれぞれの相手に対して、以下の1.~8.の中で最もふさわしいものを1つ選んで、番号を( )の中に記入してください。当てはまる人がいない(そういう人が考えられない)場合は9.を記入してください。
(1)自分の父親に対して ( )
(2)自分の母親に対して ( )
(3)夫あるいは妻に対して ( )
(4)自分の子供(息子・娘)に対して ( )
(5)小中学校時代の同級生に対して ( )
(6)隣近所の人で自分より20~30歳くらい年上の人に対して ( )
(7)隣近所の人で自分より5~6歳くらい年上の人に対して ( )
(8)隣近所の人で自分と同い年の人に対して ( )
(9)隣近所の人で自分より5~6歳くらい年下の人に対して ( )
(10)隣近所の人で自分より20~30歳くらい年下の人に対して ( )
(11)三川町の町長に対して ( )
(12)仕事上の取引先の社長(あるいは担当者)に対して ( )
分析するにあたり、
選択肢1「ありがとうございます」と2「ありがとござります」を①丁寧共通語形、
選択肢3「ありがとう」と4「ありがと」を②共通語形、
選択肢5「もっけだのぉ」と6「もっけです」を③方言形、
選択肢7「もっけでございます」を④ミックス形(方言+丁寧共通語)
と4つのグループに分けた。
2.分析
①外住歴のない方
②外住歴はあるが言語形成期(15歳)より前に外住歴のない方
計115人分のアンケートを分析対象とした。
集計結果は以下のとおりである。
図1
この結果をみると、①丁寧共通語形は対町長や対取引先など、おもに自分よりも目上である相手に使われていることが分かる。また、三川町での伝統的方言の「もっけ」を使った③方言形グループは、家族内での使用はあまり見られず、知人や他人相手に使用されている割合が高くなっている。
このことから、三川町での伝統方言「もっけ」は、地域に浸透しているが家族内で使う言葉ではなく、対知人・他人用のお礼の方言として使われていること考えられる。