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第1章 はじめに

田中ゆかり

1.1.このサイトの背景

このサイトは、2015年度前期集中で開講した基礎演習2の授業報告です。「基礎演習」は、国文学科の専門科目のひとつで、2年次配当の選択必修科目です。国文学科の3本柱のひとつである日本語学の方法を学ぶことを目的としたものです。

このクラスのテーマは、「言語景観・言語サービス研究入門」です。わたしたちの身の回りには、さまざまな言語を使用した「看板」「案内」「広告」「言語サービス」などであふれています。それらに使用されている言語を通して、日本語社会におけるそれぞれの言語の「意義」「価値」を知ることができます。このクラスでは、言語景観ならびに言語サービス研究を通して具体的な言語研究の企画・実施、分析と報告までの一通りを学ぶことを目的としました。なお、調査域は日本随一の繁華街である東京都中央区の銀座(「銀座中央通り」「晴海通り」)界隈としました。

1.2.授業の方法

この授業は、グループによる演習形式で実施しました。授業開始期の全体討議により、調査の対象と調査観点(項目)を決定しました。その後、グループごとにデータ収集と分析を行い、発表をし、そのフィードバックを反映させた最終課題を提出する、という流れです。このクラスは、授業補助として国文学科助手の林直樹さんにも参加していただきました。

1.3.授業の進め方

この授業は以下のように進めました。

◆授業計画

◇09/05(Sat)2限(3207教室)-> 銀座へ移動 -> 予備調査:4・5限

  • 2限 ガイダンス、第02回 午後の現地予備調査のためのレクチャー、グループ分け
  • 14:00 銀座和光前集合(各人昼食を済ませて集合)
  • 14:00-16:00 銀座予備調査 ※雨天決行(地図、スマホ、メモ帳など準備してくること)
  • 16:00 銀座和光前集合 -> 報告・打ち合わせ 解散

◇09/07(Mon) 2-5限(3207教室)

  • 2限 調査方法・項目検討
  • 3限・4限 調査項目とマニュアル&チェックシートの発表・討議
  • 5限 調査項目・マニュアル&チェックシート確定(Bb掲示板提出)

◇09/08(Tue) 2-5限(臨地調査:雨天決行 ※実際、かなりの大雨の中の調査でした…)

  • 10:30 和光本館ショーウインドー前集合 http://www.wako.co.jp/ 出席確認->調査(昼食・昼休み60分含む)
  • 16:30 喫茶室ルノアール銀座6丁目店2階会議室集合:報告&打ち合わせ
  • 17:50 解散

◇09/09(Wed) 2-5限(3207教室)

  • 2限 データ持ち寄り&報告方針検討準備
  • 3限-4限 各班報告
  • 5限 最終課題説明と各班最終課題作成打ち合わせ&作成

◆最終課題締切:09/24(Thu)12:10 提出先:Bb掲示板

※報告書・サイト:完成後Bb等で周知・配布

1.4.参考文献

授業開始時に、以下の文献等を提示しました。2015年は訪日外客の経済的インパクトについての記事が多く現れました。授業では、随時それらについても情報共有しました。

【参考文献(アルファベット順)】

バックハウス(2004)「第2章「内なる国際化」―東京都の言語サービス」河原俊昭編著『自治体の言語サービス』 : 37-53. 春風社

バックハウス(2009)「日本の言語景観の行政的背景―東京を事例として―」庄司博史・P・バックハウス・F・クルマス編著(2009)『日本の言語景観』: 145-170. 三元社

井上史雄(2001)『日本語は生き残れるか』東京 : PHP研究所

河原俊昭編著(2004)『自治体の言語サービス―多言語社会への扉をひらく―』 春風社

正井泰夫(1972) 「新宿の都市言語空間」『東京の生活地図』:152-158 時事通信社

『日本語学』28(6)(特集 多言語社会ニッポン)明治書院・2009年05月

真田信治・庄司博史(編)(2005)『事典 日本の多言語社会』岩波書店

庄司博史・P・バックハウス・F・クルマス編著(2009)『日本の言語景観』: 三元社

多言語化現象研究会(2013)『多言語社会日本―その現状と課題―』三元社

田中ゆかり(2009)「首都圏の多言語表示―“標準化”の観点から―」『日本語学』28(5) : 10-23.

田中ゆかり・秋山智美・上倉牧子(2007) 「ネット上の言語景観-東京圏のデパート・自治体・観光サイトから」『月刊言語』 36(7) : 74-83.

田中ゆかり・上倉牧子・秋山智美・須藤央(2007)「東京圏の言語的多様性―東京圏デパート言語景観調査から―」『社会言語科学』10(1) : 5-17.

田中ゆかり・早川洋平・冨田悠・林直樹(2012)「街のなりたちと言語景観―東京・秋葉原を事例として―」『言語研究』142,日本言語学会,pp.155-170

田中ゆかり(2014)「3種の漢字の現れ方―「お買い物」の現場・デパートから見える風景―」『HUMAN』7(監修:人間文化機構、平凡社)pp96-101

田中ゆかり(2015)「言語選択とその背景―東京中心部におけるデパートを中心に―」『日本学』40東国大学校日本学研究所(韓国ソウル市),pp.109-128(2015年5月)

中井精一・ダニエル=ロング(2011)『世界の言語景観 日本の言語景観―景色のなかのことば―』桂書房

Landry, Rodrigue and Bourhis , Richard Y.(1997).Linguistic landscape and ethnolinguistic vitality : An empirical study. Journal of Language and Social Psychology 16(1):23-49.

【雑誌特集】『日本語学 特集 経済とことば』34(6)明治書院(2015年5月号)

【参考サイト】

日本政府観光 http://www.jnto.go.jp/jpn/ ※訪日外客の動向や対策

ジャパンショッピングツーリズム協会 http://jsto.or.jp/

ビジネスに活用できるインバウンドデータ一覧 日本旅行業協会 https://www.jata-net.or.jp/data/inbound/

トラベルボイス http://www.travelvoice.jp/ 訪日旅行

田中ゆかり担当授業報告 /kisoen/ 銀座の言語景観調査1~4

【訪日外客関連_新聞記事等】

(ゼミナール)訪日外国人どう増やす(1)-(10)日本経済新聞朝刊(2015/08/19~09/01)東レ経営研究所・永井知美

現代ことば考(1)~ 日本経済新聞 日曜朝刊 文化面(2015/07/05~) 井上史雄

「免税店 銀座に次々 訪日客「爆買い」に対応 バスで渋滞 対策も」2015/08/28(Fri)読売新聞夕刊4版・1面

「松屋、銀座店の敷地内に訪日客専用売り場」日本経済新聞電子版2015/09/01

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