銀座に位置するファストファッションブランド店を「海外企業」「日本企業」とわけ、その各店舗での使用言語また、経営理念や戦略といった視点から、考察する。
表1
日本企業 | 海外企業 |
UNIQLO | ZARA(スペイン) |
g.u. | H&M(スウェーデン) |
GAP(アメリカ合衆国) |
今回の調査では、銀座に店舗を置くファストファッションブランドを表1のように「日本企業」「海外企業」として分け、比較し、調査する。
まず、なぜ銀座にファストファッション店が多い??
理由に高級ブランドが並ぶ「銀座」に現代のファッションブランドも銀座に出店することにより、ブランドイメージのアップ、また、同業者が並ぶことによる集客率のアップが考えられる。
各店舗で使用されている言語をそれぞれ比較する。基準は、各店舗内での掲示物で使用されている言語である。
表2
日本企業 | |||
日本語 | 英語 | その他 | |
UNIQLO | ○ | ○ | ○ |
g.u. | ○ | ○ | ○ |
海外企業 | |||
ZARA | ○ | ○ | × |
H&M | ○ | ○ | × |
GAP | ○ | ○ | × |
各企業の使用言語は表2のような結果になった。基準は、恒常掲示物であるフロアガイドでの使用言語とする。各企業、日本語と英語は「日本企業」「海外企業」関係なくそれぞれ使用されている。「海外企業」である、ZARA、H&M、GAPでは、日本語と英語のみ2言語の言語使用であった。対する「日本企業」である、UNIQLOとg.u..は日本語、英語にプラスで中国語、ハングル語の計4言語が使用されていた。
この結果に対し、各企業の経営戦略、理念を踏まえ考察してみる。
図は、各企業の店舗内のフロアガイドである。
図1 UNIQLO フロアガイド
図2 g.u. フロアガイド
図3 ZARA フロアガイド
図4 H&M フロアガイド
図5 GAP フロアガイド
「日本企業」
UNIQLO
世界市場でのポジションを拡大していくことが目標。海外事業がUNIQLO全体の売上の3割を超え、アジア地区での成長が著しい。また、UNIQLOは次の舞台として、アメリカ合衆国へ事業拡大に力を注いでいる。
g.u.
商品に日本的なかわいいを大切に、欧米のファストファッションとの差別化を図る。日本市場での更なる事業拡大が目標。また、アジア地区での成長にも期待が持たれ、今後はアジア諸国へ続々と出店エリアを広げていく計画。
「海外企業」
ZARA
現地化と知見に取り組み、一部のローカル市場でのみのニーズと一定のニーズのある商品を選別。世界各地のトレンドをリアルタイムで収集し、商品企画を迅速に店舗反映している。アジア地区重視戦略が成功し、ファストファッションブランドでの売上は1番である。
H&M
現在世界59の市場に、約3,600店舗を展開。アジアにも2007年より19の国々へ進出。しかし、アジア地区での成長は伸び悩んでいる現状。売上は、ドメスティック市場(ヨーロッパ)での売上が大半を占めている。
GAP
企業としての大きさではなく、商品、中身がいかに優良であるかにこだわる。目標としては、欧米での更なるシェア拡大。アジア地区では、直営店は日本のみにしかあらず、ほかのアジアの諸国では、フランチャイズで経営している。
これが各企業の現状の経営戦略や理念である。各企業それぞれの商品戦略や経営戦略があるが、まず注目すべき企業がZARAである。ZARAは「海外企業」の中で唯一成功を収めた企業である。ここには、経営方針がアジア重視であること、各地域の現地化と知見を取り入れたことが大きな要因といえる。では、ZARA以外の「海外企業」はどうだろうか。H&M、GAP、どちらも経営をアジア地区へ展開しているが、ZARAほど力を入れていない。どちらの企業も、それぞれのドメスティック市場への更なるシェア拡大が目標とされている。対して「日本企業」であるUNIQLO、g.u.の共通点は、どちらもアジア地区へのシェア拡大を経営戦略により、名言していることだ。どちらの店舗にも使用されている、中国語とハングル語、それぞれ訪日外国人の国のランキング1位2位ということとともに、アジア地区として、「日本企業」がシェア拡大を目指す市場でもある。
「日本企業」「海外企業」での使用言語の差には、各企業の経営理念や戦略などが関係していることが考えられる結果となった。「海外企業」である各企業は、それぞれのドメスティック市場での売上が高いため、「海外企業」から見る、アジア地区でのシェア拡大と「日本企業」から見るアジア地区へのシェア拡大は、別の見方ではないかと私は考えた。アジア地区は、ある意味「日本企業」にとってはドメスティック市場なのではと考える。このように考えると、「日本企業」のUNIQLOとg.u.のこれからの言語サービス、に様々なアジアで使用されている言語が追加されていくのではと、私は予想する。