国文学科3年 佐藤 和徳
山形県三川町の方言調査における調査対象者の訪問時のあいさつ行動の特徴と傾向を明らかにすべく、面接調査で得られた70人分の結果をもとに分析をすすめていく。
①「あなたは午後の2時ごろ、近所に住む仲のいい友達の家に行きました。その際、玄関の戸は閉まっていて人は見あたりません。あなたは戸を開けて、玄関先で何と言ってあいさつをしますか。」
②「あなたは午後の2時ごろ、近所に住む仲のいい友達の家に行きました。その際、玄関の戸が開いていて、そこに友達がいます。あなたは玄関先で何と言ってあいさつをしますか。」
1.ゴメンクダサイ
2.ゴメショ
3.オー
4.イヤッタガシ
5.オーイ
6.イッダガー
7.その他( )
*複数回答可
下の図1は①と②のそれぞれのパターンにおける回答結果である。
*自由回答欄に記入された発音の異なるもの(イッタカー、オーイッダガー等)は「イッダガー」に含めた。
図1
比率で見てみると、パターン1の場合では「ゴメンクダサイ」が約28%、「オー」が4%、「オーイ」が3%、「イッダガー」が25%となっていることがわかる。しかし、パターン2になるとパターン1で回答の多かった「ゴメンクダサイ」が8%、「イッダガー」が9%に減少し、「オー」が26%に増加している。これらのことから、山形県三川町では家を訪問した際誰が出てくるのか分からないような場面では共通語「ゴメンクダサイ」が多く使われ、親しい友人が見える範囲にいる場合には「オー」が使われる傾向にあると考えられる。「イッダガー」については、人がいるかどうかを尋ねるような意味合いの言葉であるので、パターン2での比率の減少は納得できる結果であるといえる。「ゴメショ」「イヤッタガシ」は山形県内の他の地域の方言だったが、三川町では全く使用されないことがわかった。