(鈴木陽介)
自分が担当した銀座中央通りは、高級ブティックや老舗デパートが立ち並んでいる。
言わば「銀座の顔」だ。その中で、店舗名看板から読み取れる日本語形態について考察していきたいと思う。
図1 中央2 『ルイ・ヴィトン』 図2 中央2 『松屋銀座』
総合されたデータによると、中央通りの店舗看板名に最も多く使われている言語は、アルファベットであった。しかも、日本語表記の看板に倍以上の差をつけている。海外有名ブランドが多数進出しているのも、その要因の一つだろう。しかしそれだけでは、ここまでアルファベットが「増殖」している理由付けが弱い。銀座に多数訪れる「外国人旅行客」を意識しているのかとも考えたが、それでも違和感が残る。
図3 中央3 『LAOX』 図4 中央2 『GINZA ABCラーメン』
図3の看板であれば、はっきりと「外国人旅行客」を意識している事が分かる。
日本語表記とアルファベット表記を機能的に組み合わせているからだ。が、図4はどうだろう。日本に生まれ育ったならすぐに理解出来るラーメン屋であり、アルファベットも使用されている。しかし「noodle」などとは表記されてはいない。店名だけの使用だ。
この店が持つ「外国人旅行客」への意識は、そこまで高くないと判断出来る。
そしてこのようなタイプの店が、中央通りには多数見られるのである。(一例・・・図5)
図5 中央2 『本の教文館』
つまり銀座中央通りの「アルファベット」の多くは、「装飾」以上の意味合いを持たない場合が殆どなのである。文化の中心地である銀座・中央通りがそのような状況であるから、それは日本と言う「文化」が、「アルファベット」を完全に吸収してしまった事実を指している事に他ならない。
思えば日本語は、まず「漢字」を取り入れ、そこから「平仮名」、「片仮名」と発展させてきたのである。それにアルファべットが当て嵌まらない訳が無いのだ。
首都東京が持つ「文化」の中心地、銀座。その中でも要である中央通りがこうした状況なのだから、それは東京全体が「アルファベット」を取り込んでいるのに間違いが無い。
銀座の日本語形態の変化は、「文化」全体の変化だ。これからも銀座と言う街に注目していきたいと思う。