(堀美佑紀)
入口の掲示物は総計132枚あった。
表4 材質の表
銀行 | 商店 | 合計 | |
剥がしやすい材質 | 0 | 15 | 15 |
剥がしにくい材質 | 50 | 67 | 117 |
総計 | 50 | 82 | 132 |
※ここで言う剥がしやすい材質は紙を指す。また、剥がしにくい材質はプラスチックやシール地になっている物のことを指す。
図6 恒常的な内容の掲示
図7 剥がしやすい材質の掲示
表4から分かるように剥がしにくい材質が50枚あるのに対し、剥がしやすい材質は0枚だった。銀行は変化の少ない恒常的な内容を指す掲示物が多いからであろう。(図6)
表4から読み取れることは、掲示物の総計枚数が銀行より多いということだ。また、銀行は剥がしやすい材質の掲示物が0枚だったのに対して商店は15枚あった。
掲示内容がほとんど変わらない恒常的な掲示物が多い銀行は剥がしにくい材質しか用いていないことに対し、商店はセールやバイト募集などの期間限定の臨時的な掲示をするため、剥がしやすい材質も使用していた。(図7)
入口の掲示物の内容の総計は143枚あった。
表5 掲示内容の表
銀行 | 商店 | 合計 | |
案内 | 8 | 42 | 50 |
カード | 5 | 16 | 31 |
銀聯カード | 1 | 9 | 19 |
防犯関係 | 10 | 9 | 19 |
障害者向き | 18 | 3 | 21 |
禁止 | 7 | 6 | 13 |
AED | 4 | 3 | 7 |
その他 | 0 | 2 | 2 |
総計 | 53 | 90 | 143 |
図8 障害者向けの掲示
図9 銀聯カードの掲示
障害者向けの掲示が商店より圧倒的に多く掲示されていることが表5を見ると分かる。また、恒常的な知らせが多い。
表5から案内、カードの掲示が銀行に比べて非常に多いことが分かる。カードの種類は特に銀聯カード(図9)であることが多い。
銀行は商店に比べ障害者向けの掲示物のような恒常的な掲示物が目立つ。(図8)また、商店は銀行に比べ圧倒的に案内とカードの情報が多く、特に銀聯カードの使用可のお知らせが多い。これは2011年度に訪日旅行者数が1,043,500人で韓国、台湾に続き3位の中国に対応するようにしていると言えるのではないだろうか。
ピクトグラムの総計は45枚あり、種類としては17種類あった。掲示物は132枚あるので掲示物の約34%にピクトグラムが使用されていることが分かる。
表6 使用されているピクトグラムの表
銀行 | 商店 | 合計 | |
禁止 | 7 | 6 | 13 |
障害者向き | 18 | 3 | 21 |
AED | 4 | 2 | 6 |
オムツ交換シート | 1 | 0 | 1 |
Wi-Fi | 1 | 1 | 2 |
防犯カメラ | 0 | 2 | 2 |
総計 | 31 | 14 | 45 |
内訳としては禁止事項のピクトグラムには禁煙、撮影禁止、飲食禁止、火気厳禁、ローラーシューズ使用禁止がある。また、障害者向けのピクトグラムには段差解消、筆談対応窓口、車いす対応トイレ、車いす対応駐車場、視覚障がい者対応ATM、車いす対応エレベータ―、オストメイト対応設備、ほじょ犬同伴可があった。
掲示物の内容と同じく、障害者向けが多かった。また、ピクトグラムの総計が商店より多い。
カードと案内が多かった掲示物の内容とは異なり、禁止事項を示すピクトグ/ラムが多く見受けられ視覚的に伝えていた。
表7 推奨度別のピクトグラムの表
銀行 | 商店 | 合計 | |
推奨度A | 21 | 5 | 26 |
推奨度B | 4 | 0 | 4 |
推奨度C | 0 | 1 | 1 |
総計 | 25 | 6 | 31 |
今回は交通エコロジー・モビリティ財団ホームページの推奨度一覧に載っているピクトグラムについてのみ表の対象とした。そのため、推奨度一覧に載っていないピクトグラムは表の対象外とした。
図10 推奨度の高いピクトグラム
図11 推奨度の低いピクトグラム
図12
図13
図14
図12、13、14は左から推奨度Aのスロープ設置、推奨度Bの乳児対応、推奨度Cの飲食禁止のピクトグラム。
推奨度は公利財団法人交通エコロジー・モビリティ財団HPの推奨度一覧より抜粋。
推奨度Aのピクトグラムが非常に多い。銀行で使用されているピクトグラムの約67%が推奨度Aである。また、推奨度Cのピクトグラムが一枚もなく、最も低い推奨度でBだった。(図10、12、13)
半分以上のピクトグラムの推奨度が分からなかった。銀行で使用されていたピクトグラムの67%が推奨度Aだったのに対し、商店で推奨度Aだったピクトグラムは42%しかなかった。また、銀行と異なり、推奨度Cのピクトグラムがあった。(図11、14)
利用客の好みによって行く店が異なる商店とは違い、多くの国籍の人々が利用する銀行は推奨度Aのピクトグラムが67%を占めていた。更に、そのピクトグラムそのものの数も商店より多くあり、多言語を使用せずとも視覚的に内容を利用者に伝えることができていた。
銀座は観光客を意識した掲示物を積極的に掲示している。特に商店はその傾向が強く見られる。商店は対象客に敏感に反応、対応するため、言語の使用も自由に変化させている。掲示内容も商品や使用可能カードの案内などが多く、消費に関するものだった。また、店の印象に合わせた英語の使用も見られ、それらは記号的なものだった。銀行は商店と違ったもので観光客へ対応していた。銀行は掲示物が防犯や障害者へ向けたものが多く、それらのほとんどが2か国語以上で訳されていた。ピクトグラムも推奨度Aのもので、利用しやすい。入り口の掲示類から見る銀座は、様々な国籍の人々が利用するのに対応しようとしている。そのため、多言語が使用され、ピクトグラムも推奨度が高い。また、英語は日本人に向けても使用されていた。このように、必ずしも外国人向けではない外国語もあり、英語の利用の仕方は多岐にわたる。これらが観光客に対応するためでなくとも、結果的に銀座は外国人を受け入れる街に変化していると考えられる。
参考サイト
公利財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
日本政府観光局(JNTO)