(上崎拓人)
私は晴海通りから現在の銀座を調査した。言語調査をした範囲は晴海通りの以下部分である。(図6)有楽町駅手前のガード下から万年橋東交差点までを、4つの区域に分けてそれぞれの特徴を考察した。区域名は有楽町側からそれぞれ、晴海1、2、3、4とする。今回は主に使用言語数、ロゴの有無、「銀座」の地名表記の有無、をそれぞれ比較して取り上げて考察する。
図6晴海通り調査区分け
晴海1
百貨店が多く店舗数がその他の区域より少ないため看板も少数だった。百貨店は装飾が少なく、ロゴの使用も無い(図7)。店名に「銀座」の地名自体が使用される店舗を含めて、9店舗中4店舗が地名を表記、その中で3店舗がローマ字表記だった。(図8)
図7 GINZA5
図8 東宝シネマズ
晴海2
晴海1に比べ、アパレル店、高級ブランド店が増加し店舗名の主体は欧米系の言語が主体となる。16店舗中10店舗が日本語(漢字、ひらがな表記)を店舗名に表記していない(図9、10)。「銀座」の表記は和食店とカフェのみに見られ(図11)、アパレル・高級ブランド店には見られなかった。高級ブランド店は地名のブランド以上にブランド店自身の認知度が高く、出身国が違っても認識できるため自身の名前を全面に出している。
図9 HERMES
図10 MAXINS
図11 千疋屋
晴海3
中央通りを境に築地側に入ったこの地域ではアパレル店が減少、代わって飲食店が増加、使用言語も逆転する(図12、13)。23店舗中15店が日本語のみ、5店舗が日本語と英語表記と、表記主体が日本語にシフトする。ロゴ使用店舗数はそれほど変化がないが、「銀座」表記は10店舗と多く、4つの区域の中で一番銀座という地名ブランドを強調している(図12、13、14)。
図12 びっくり寿司
図13 つづれ屋
図14 ミヤコ
晴美4
看板自体の色彩が鮮やかになり、店舗名自体にも装飾を施す店舗が増える(図15、16、17)。店舗名に使用される言語はほぼ日本語か英語のどちらか一方を使用するケースが多い。15店舗中12店舗が店舗名の看板に一言語のみを選択している。販売商品の種類が多岐に渡り、晴美3に比べて店舗名看板に英語、または英語の商品説明を表記する店舗が増加。「銀座」表記は全く見らない。
図15 蜂の家
図16 いわて銀河プラザ
図17 BONJOU
これらを見ると、中央通りを境に狙う客層が明確に分けられているように思われる。有楽町側は日本人でなくても認識できる英語が主体であるが、築地側は日本語が主体になり英語はあくまでもデザインとして利用されているのではないかと考えられる。晴海通りからは海外へ向けた銀座と国内に向けた銀座という二面性を垣間見ることができるだろう。