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第5章 店舗の入り口の掲示類からみた銀座

5.2.掲示物の言語と場所

(中山理沙)

5.2.1.銀行で使われている言語数と使用言語

調査対象の銀行10店舗で使用されている言語数と使用言語について調査した。

表1 言語数と使用言語の表

図1 外貨両替の掲示物

銀行の掲示物の言語数と使用言語を日本語・英語・中国語(簡体字と繁体字)・韓国語・その他言語に分け表1を作成した。この表から日本語のみの使用が圧倒的に多いことがわかる。日本語のみの表記は主に、営業時間や使用可能カードの種類などの銀行の利用に関することであった。
次に日本語と英語の使用が目立つ。これらは警報装置設置店やAED設置のなどのこの銀行本来の利用に関するものではなく、設置物や防犯に関する掲示だ。銀聯カードの利用可能の掲示は英語・中国語(簡体語)がほとんどだが、みずほ銀行のみは日本語表記もしてあり、日本語・英語・中国語(簡体字)の数が伸びたことがわかる。
中には外貨両替可能の掲示が日本語・英語でされているもの(図1)があり、両替場所が二階にあるという指示が英語でされている。店の利用や店内指示が英語であることから観光客に向けての掲示だといることがわかる。
また、日本語・英語・中国語(簡体字)・韓国語の4ヶ国語は警察官立寄所という表記のみで、これは韓国語がないものもあった。
銀行での外国語の使用は対訳形式が多く、そのほとんどが利用に関するものではなく、設置物や防犯を意識した掲示物だ。逆にイメージ的言語はほとんどなかった。また、予想よりも観光客に向けたものがみられる。

5.2.2.商店で使われている言語数と使用言語

調査対象の商店20店舗で使用されている言語数と使用言語について調査した。

表2 言語数と使用言語の表

図2 営業時間の表示

図3 禁止・注意事項の掲示

図4 銀聯カードの掲示

商店の言語数と使用言語を日本語・英語・中国語(簡体字と繁体字)・韓国語・その他言語に分け表2を作成した。

表2から銀行に比べて日本語のみの使用が半分に減ったことがわかる。また、英語のみの使用は利用可能カードの案内やWi-Fiの案内などがほとんどであった。
逆に、日本語・英語の使用が増えた。特に店の営業時間(図2)の案内はこの2ヶ国語の使用が目立った。英語の使用から外国人に向けたものとも思えるが、OPEN・CLOSE英語だけで日本人にも伝わるのでこの英語は記号的な使用と理解することができる。
禁止事項や注意事項(図3)も日本語・英語の使用があった。これらはピクトグラムと併用することで、言語数を減らしていると考えることができる。また、対訳形式なことから実質的言語である。
英語・中国語(簡体字)では銀聯カードの掲示物(図4)が目立った。日本語の案内がないところから観光客に向けたものと考えられる。銀聯カードの掲示物が7枚に対して、英語のみを使用したJCBカードの掲示物は2枚であった。2011年の中国人観光客数は453,182人となっており、訪日観光客では韓国、台湾の次に多い結果だ。(出典:日本政府観光客)このように増加する中国人観光客向けに、日本では普及していない銀聯カードが使用できることをアピールしている。
商店は銀行に比べ、英語表記が多く、記号的にもイメージ的にも使われていることがわかる。また、同じ掲示内容であったら店が違っていても言語数は同じであり、店による違いは見られなかった。

5.2.3.言語数と使用言語のまとめ

銀行にはイメージ的言語はなかった。このことから実質的言語を最低限に使っていると考えた。営業時間などの銀行の利用に関する部分に外国語表記が見られてもいいと思ったが、他の設置物や防犯に対すものが主であった。これらも対訳形式で確実に事を伝えたいことがわかる。
商店は言語を記号、イメージ、実質的に様々に使い分けている。店の印象や対象客を意識していると考えた。中でも英語はその傾向が強く見られた。一方、中国語・韓国語は観光客向けしかない。英語は対象客を明確に定めずに使うことも可能で、訪日観光客や在日外国人に向けても使用できるため、幅広い言語使用がされていると考えた。

5.2.4.掲示物の場所

調査対象の銀行・商店の掲示物の場所から内容などの違いを調査した。

表3 掲示物の場所の表

図5 取っ手付近の掲示

掲示物の場所をドア・ドアの取っ手付近・店舗の前面・その他を銀行・商店にそれぞれ集計し、表3を作成した。
銀行にドア取っ手付近がなかったのは銀行のドアは自動ドアのためだ。商店ドアには取っ手の付いているものもあり、それには押す・引くと書かれた掲示物(図5)があった。また、押す・引くに必ず英語でPUSH・PULLと対訳されていた。一方、自動ドアにも注意書きがあるなどした。銀行・商店共に店舗ごとに掲示場所は違った。掲示内容による違いも特に見られなかった。

5.3.掲示物の材質と内容とピクトグラム(堀美佑紀)