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第2章 銀座の百貨店における外国人観光客への取り組み

2.2.パンフレットから見る各百貨店の求めている客層の考察(荻野浩行)

2.2.1.調査概要

各店舗のピクトグラムを中心に調査し、各店舗の特色や重要視されている施設表示、そこから見えてくる課題を明らかにする。

2.2.2.調査結果

表1 店舗ごとの各ピクトグラムの数(個)

やはり、トイレやエレベーター、エスカレーターのような重要かつ1店舗ごとに数が多いものは全体的な表示の数も多く、ATMやAED、案内所のような1店舗ごとで数が少なく、表示の有無や仕方が違うものは全体的な表示の数も少なかった。

また、表1から、

  • 三越とGINZA SIXはベビーやバリアフリーの施設が多く、高齢者や赤ちゃん連れの人は行きやすい。
  • 松屋銀座とGINZA SIXはAEDが他よりも多く、緊急時の準備が比較的整っているといえる。
  • 三越は案内所が一番多く、外国人や困っている人に対応することができる。

ということが考えられる。

図1 ピクトグラムが使用されている店舗数(店舗)

図1は各ピクトグラムが使用されている店舗の数を示したものである。ここから、全ての店舗で表示されているものはトイレのみということがわかる。逆に、全体的に多かったエレベーターやエスカレーターは表示されていない店舗があるということになるが、これはエレベーターやエスカレーターが設置されていないのではなく、設置されているが表示がされていないところもあるためである。

図1から考えられることとして、

  • トイレが1番多いのは、絶対必要なもので、逆に無いと不便だから。
  • 案内所は、外国人観光客が多い銀座でその人たちに対応するため各店舗設置しているから多い。
  • 喫煙所は、煙草の料金が高くなったりし、喫煙者や「分煙」という言葉が注目されている中、その「分煙」をするため、また、喫煙者が気兼ねなく煙草を吸う場所を提供するために設置、表示されている。

ということが挙げられる。

2.2.3.パンフレットの言語について

パンフレットにも言語があったが、あくまで補助的なものが多かった。日本語、英語、韓国語、中国語、の順で多く、松屋銀座と三越と有楽町マルイの3店舗はタイ語にも対応していた。その点では、パンフレットのほうがフロアガイドよりも全体的に見た時の言語の種類は多かった。しかし、日本語のみのものが多く、他の言語を使用している場合は日本語とその他の言語で2種類に分けて作られていることがほとんどだった。

2.2.4.パンフレットにおける考察

日本はインバウンド旅行者が多く、さらに全体的にも個々の国で見ても年々増加している。どの言語を使用している話者でも、ピクトグラムを見れば理解できるので、重宝され、多用されているのではないか。

また、バリアフリー表示の数やその店舗数が思ったよりも多かった。しかし、1店舗ごとの数で見ると、ほとんどの店舗が少なかった。まだ必要な面もたくさんあるだろうから今後そういったものを増やしていくことも重要になってくるのではないかと感じた。妊婦や小さい子供をつれている人向けの表示も同じことを感じた。

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