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第4章 料理店のジャンルごとの言語景観の違い

4.2.「和食」における言語景観(清水航七)

4.2.1.調査対象

  • 1位 和食亭ふぐ福治
  • 2位 小十
  • 3位 小熊
  • 4位 銀座kuma3
  • 5位 銀座杉もと
  • 6位 治郎長
  • 特殊 うかい亭 トランプで話題
  • ※順位は「値段の高い順」にしたときの順位である。

4.2.2.調査結果

実店舗での特徴。

ほとんどの店が他言語表記はされておらず、外観が特徴的であった。そして外観は全体的に落ち着いた印象を受けた。

特徴的な店舗として、杉もとでは書体が行書体で書かれていて和紙が想起されるデザインになっている。治朗長では提灯に店名が行書体で書かれていて日本らしさが強い。

画像1 杉もとのメイン看板

画像2 治郎長の外観

4.2.3.WEBサイト上の特徴

ふぐ福冶、小熊、Kuma3は英語に言語表記を変えられる。

小十、杉もと、治郎長は日本語と並行して英語が書かれている。

画像3 ふぐ福治のWEBサイト

画像4 治郎長のWEBサイト

実店舗は日本語のみの店舗がほとんどだったのに対して、調査店舗のWEBサイトには漏れなく二言語以上で表記されていた。英語を中心に他言語に対応されていた。他言語に対応していたが、ウェブサイトのデザインは日本らしさを損なわないようになっていた。黒や白(和紙のような)を基調としたものが多く、店名は行書体で書かれていた。

4.2.4.まとめと考察

WEB上と実店舗共にデザインが日本らしさを重視しているという共通点があった。

和食というジャンルの性質上いわゆる「和食感」を出すことが非常に重要になっている和食は、単に他言語表記が遅れているとは言えないだろう。デザインの特質を考えると、他言語表記をしないことで「和食感」を損なわないようにしていると考えられる。多数の欧米人観光客がいること、そして欧米人観光客は飲食費を消費することから苦肉の策として英語のみ採用をしているのではないだろうか。

これら複数の理由から和食においては他言語表記が遅れているのではなく、意図的に少なくしていると考えられる。

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