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第5章 各地域のマツモトキヨシにおける言語観の違いから銀座のあり方を考える

5.3.商品の臨時的掲示物から考察する行政区毎の外国人の分析(坂本真友子)

5.3.1.調査概要

マツモトキヨシにおける店内の商品付近にある臨時的掲示物を調査した。また、在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表(法務省)、訪日外国人消費動向調査(観光庁)から対象の国と地域のデータを調査し、臨時的掲示物と外国人の関係性を考察する。

5.3.2.調査結果

表1 各店舗のデータ概要

銀座5th店銀座8丁目店中央通り店有楽町イトシアプラザ店新宿東口店
1中・英中・英TAXの英のみ中・英中・英
240個(中・英)39個(中・英・ハングル)1個(中)52個(中・英・タイ)32個(中・英・タイ・ハングル)
3中・英中・英無し
特記事項新宿と比べて店舗は広いが品物の種類は少なく、人気商品の数量を増やし外国語のコーナー表示を付けている印象。店内は広いが人は少ない。品揃えも豊富でぎゅうぎゅうな感じもない。主に日本語表記のみ。しかし入口にTAX FREEの看板(恒常的掲示物)はあった。店内は広くポップも数が多い。品数も豊富。店内は狭いが商品の種類を多く置いている印象。一つ一つの陳列数は少ない。外国語表記は小さいものがぽつぽつついている。

表2 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表(法務省)

表3 訪日外国人消費動向調査(観光庁)

まず、表2よりどの国も新宿区が一番多くなっている。実地調査とこの統計表から、新宿東口店は外国人観光客をターゲットにしているのではなく在留外国人をターゲットにしているのではないか。加えてこの店舗の近郊には新大久保などにチャイナタウンがある。そこに住む人々もターゲットにしていると考えられる。

さらに表3よりタイの羽田空港入国、出国、フィリピンの成田空港入国、出国が共に中国の数値に近い値となっている。フィリピンの公用語は英語とタガログ語のため英語表記で対応できるが、タイの公用語はタイ語のため新しく対応していく必要がある。このことからタイの観光客向けに有楽町イトシアプラザ店、新宿東口店はタイ語の表記をしていると考えられる。

そして、上記3つの表より銀座の2店舗では、実地調査から中国人と英語使用の外国人をターゲットに絞っていると考える。銀座では和光を中心とした高級ブランドを提供する店が多い。このことから、銀座のハイブランド性や景観を維持するために表記を最低限にしていると考える。景観については銀座の店舗のみ白黒の看板を採用していた。また、在留外国人統計ではどの区も調査した国の中では一番多くなっている。実地調査でも、全ての店舗で中国語が見られた。今後中国語を目にする機会は更に増えていくと考える。

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