三川町の方言調査 ふるさとのことば

遊びのことば

「カミフウセン」と「グッパ」の使用について

国文学科3年 菅原 順子

1.はじめに

 山形県三川町において2010年8月に行った方言調査の報告である。
私たちの班のテーマは「子供のころの遊び」というテーマで、アンケート項目と面接項目を考え、調査を実施した。

2.分析対象の決定

アンケート調査、面接調査それぞれのフェイスシート項目で「人生で一度も外住歴がない」(純粋三川人)と答えた回答者と「16歳以上のときに外住歴がある」(準三川人)と答えた回答者のみを調査対象とした。

3.サンプル数の決定

アンケート調査項目の全サンプル数は164である。うち、「15歳までの外住歴の有無」の項目で無回答だったサンプル数12を除いて152である。そこから「よそ者」と「完璧なよそ者」を抜いた分析対象のサンプル数(純粋三川人+準三川人)は115である。
続いて、面接調査項目の全サンプル数は80である。アンケート調査項目同様、「よそ者」と「完璧なよそ者」を抜いた分析対象のサンプル数(純粋三川人+準三川人)は64である。

3.分析結果・・・アンケート調査項目「カミフウセン」


標準語形の「カミフウセン」が一番使われている結果となり、「ケッペ」は10%ほどの人が使用、「フキダマ」は使用者なしという結果になった。
4の「カミフウセンその他」の自由回答の選択肢では「紙テマリ」「カミケッペ」の2語が回答されていた。どちらの回答者も60代男性で、「紙テマリ」と答えた回答者は純粋三川人(成田新田在住)、一方「カミケッペ」答えた回答者は準三川人(土口在住)であった。

3.分析結果・・・面接調査項目「グッパー


⑰-1と⑰-2をまとめて分析した結果、全部で10語出てきており、それぞれ「グッパ系」「ジャンケン系」「その他」の3種類に分類した上、表4でクロス集計を出した。(カッコ内は回答者数。1人以外の回答者だった場合のみ実数で示した)

①グッパ系(7語)…グートパー/グーパー/グーパッ/グッチー/グッパ(2)/
 グッパー(2)/グッパグッパグッパ
②ジャンケン系(1語)…グー(○○)ナシジャンケンポン
③その他(2語)…チーム分け/ウラオモテ

標準語形の「グッパー」と答えた回答者が多く、「グッパー」以外の回答も標準語形の派生形と考えてよさそうな語形ばかりである。また、「グッパー」以外の他の名前に固まっているわけではない。これらのことから、三川町では特に「グッパー」以外の名前はなく、標準語形を使用していると言ってよさそうである。


50代では「グッパー」の使用が見られないが、回答者数が少ないので「50代ではグッパーの使用は認められない」とは一概には言えないだろう。

3.まとめ

「カミフウセン」は、全体的に見て年層とのクロス集計は有意差が認められない結果となった。「カミフウセン」では、期待した方言形が使用されていなかったことが原因と考えられる。
「グッパー」では、ほとんどの年代において「グッパー」が使用されており、ある程度まとまった人数が「グッパー」以外の語形を使用していたり、年代差は見られないという結果になった。アンケート調査票を作る段階から先生から指摘されていたことではあったが、やはり「子供の頃の遊び」というテーマは、高年層は「覚えていない」あるいは「忘れた」といった回答が非常に多く、「グッパー」の分析の冒頭でも述べたことではあるが、分析可能な有効度数がかなり減ってしまったことが残念であった。

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