国文学科2年 廣瀬 義人
今回、凧揚げに用いる「タコ」、手遊び歌の「ずいずいずっころばし」、親指のあがる数を予想する「数字当てゲーム」の3つについて調査を行ったが、「タコ」と「ずいずいずっころばし」に関しては調査した結果、すべての人が標準語型を答えるという結果になったため、以下では「数字当てゲーム」について述べることにする。
両手の親指が上がる数を予想し、勝ち負けを競う「数字当てゲーム」について、
1)両手とも親指を出した状態で拳を握る
2)その状態で両手をくっつけ、胸の前に出す
3)順番に親指を上げる合図をすると同時に、その上がる数を予想し勝ち負けを競う
のように説明しながら実際に手で示し、この遊びの認知度を調査した。
調査対象者64人のうち、63人から有効回答が得られた。年代別に分けてみると20代から40代にかけてこの遊びが広まってはいるものの、それ以上の年齢の人はこの遊びを全く知らないということが分かる。
図1)数字当てゲーム認知度
また、この遊びに用いる掛け声を「イッセーノ系(イッセーノ、セーノ、イッセーノセなど)」「ビー系(ビー、ビーイチビーニなど)」「その他(ウーッ、チョウセンノー、ユビスマ、サントーシーノなど)」の3つに分類し、年代別に見た結果が以下のとおりである。
図2)数字当てゲーム掛け声分類
これを見ると、年代によって使用する掛け声に明確な差があることが分かる。20代はビー系の使用度が高くなっているが、年齢が上がると、イッセーノ系やその他の掛け声が主に使われるようになるということが分かった。
数字当てゲームは年代差がはっきりと現れる結果となった。40代と50代の間で「知っている」「知らない」が分かれたことに関しては、何か特別な理由があるのかもしれないが、今回の調査でそれを知ることは難しい。
しかしながら、「その他」としてまとめられた中にある「ユビスマ」のように、テレビなどのメディアでこの遊びが放送されたことが少なからず影響しているのかもしれない。
今後は、いつからどのようにしてこの遊びが広まったのか、用いる掛け声の派生などの、狭い地域にこだわらない全国規模の広い視野で研究していく必要があるのではないだろうか。
平山輝男ほか(2007)「東京都のことば」明治書院
平山輝男ほか(1997)「山形県のことば」明治書院