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第3章 チェーン店における言語表記の違い

3.8.カフェにおける言語表記(滑川千花子)

3.8.1.調査概要

銀座にあるチェーン店のカフェを調査し、店舗ごとにどのような掲示物があり、どのような多言語表記がされているのかを調べる。

3.8.2.調査結果

店舗ごとの掲示物のサンプル数は以下の表14と表15の通りである。また、使用言語は図4の通りである。なお、追加調査を行った店舗は、本調査の対象店舗を①、追加調査の対象店舗を②、とこれ以下では明記する。

表14 カフェにおける掲示物のサンプル数(本調査)

ポスター 立て看板 POP ステッカー その他 合計
サンマルクカフェ 0 3 0 0 25 28
タリーズコーヒー 2 5 0 6 0 13
カフェ・ド・クリエ 0 3 0 6 2 11
PRONTO 0 7 0 1 2 10
ドトールコーヒーショップ① 0 2 0 5 1 8
喫茶室ルノアール① 1 2 0 2 2 7
カフェ・ベローチェ 1 2 0 1 1 5
エクセルシオールカフェ① 0 2 0 3 0 5
スターバックスコーヒー① 0 1 0 0 1 2
ルカフェドトール 1 1 0 0 0 2
合計 5 28 0 24 34 91

表15 カフェにおける掲示物のサンプル数(追加調査)

ポスター 立て看板 POP ステッカー その他 合計
ドトールコーヒーショップ② 2 1 1 6 2 12
喫茶室ルノアール② 3 1 0 2 3 9
エクセルシオールカフェ② 1 0 0 4 0 5
スターバックスコーヒー② 1 2 0 1 0 4
合計 7 4 1 13 5 30

図4 使用言語数(本調査・追加調査)

3.8.3.店舗について

次に、今回調査したなかで、英語以外の多言語表記があった店舗について述べる。

【PRONTO】

本調査の対象店舗の中で唯一、中国語の簡体字と韓国語による表記が見られた。銀座4丁目だけではなく、歌舞伎座の近くに立地していることも関係しているのではないか。

図5 PRONTOの立て看板

日本語、英語だけではなく中国語の簡体字、韓国語での案内がされている。

【ドトールコーヒーショップ】

メニュー名の英訳は、あまり多くはなかった。①には見られなかった外国語メニューの案内が、②にはあり、歌舞伎座の近くという立地の影響ではないか。

図6 ドトールコーヒーショップのPOP

英語と中国語の簡体字で外国語メニューの案内がされている。

3.8.4.まとめ

カフェでの掲示物は、立て看板やステッカーによるものが多かった。立て看板には、メニューや店舗の情報が載せられており、ステッカーには、Wi-Fiなどの情報が載せられていた。また、今回はその他としてカウントしたが、タペストリーによるメニューや店舗の宣伝が複数の店舗で行われており、カフェにおいて、よく使用される掲示物であると考えられる。

言語表記は、日本語によるものが圧倒的に多く、メニュー名の英訳などで使われた英語が続いた。このメニュー名の英訳には、デザイン重視のものも含まれていると考えられる。また、新商品を示す「New」という英語表記も複数確認できた。一方で、中国語の繁体字が使われていた店舗は、今回調査対象となった店舗にはなく、中国語の簡体字や韓国語も多くは使われていなかった。しかし、多く使われていないからといって、外国人をまったく意識していないわけではなく、英文による表記がある店舗が複数存在し、歌舞伎座に近い店舗では、同じチェーン店でも他店舗にはない外国語での案内がされている店舗もあった。

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