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第6章 デパートから見る銀座の今

6.5.デパートのパンフレットにおける言語景観(鈴木裕子)

図2 言語対応状況グラフ(パンフレット)
※その他の項目は、③松屋銀座と⑥有楽町マルイにはアラビア語、④プランタン銀座にはフランス語が入る。

「銀座の言語景観5-2015年度基礎演習2報告書―」の5章と比較してみると、わかることが二つある。

一つ目は使用言語の増減が見られるということだ。③松屋銀座では韓国語が、④プランタン銀座では繁体字が使用されなくなっており、⑥有楽町マルイではアラビア語が、⑨銀座和光では英語と簡体字が使用されるようになった。(外国語専用のものができた)

二つ目は⑧メルサ銀座2と⑩交詢ビルでパンフレットそのものがなくなっているということだ。

③松屋銀座で韓国語が使用されなくなったことに関して、国際政府観光局(JNTO)による『韓国の基礎データ』に基づくと、韓国からの観光客の都道府県別訪問率は31.2%で1位の大阪府に対して、東京都は17.7%で3位にとどまっている。これにより韓国語がなくなったのではないかと考えた。

④プランタン銀座で繁体字が使用されなくなったことに関して、国際政府観光局(JNTO)の『2016年訪日外客数(総数)』の2015年の調査の時点で使用されていた繁体字、簡体字、韓国語に注目する。繁体字が使用されている香港、台湾の年間の伸率を見てみると、それぞれ20.7%と14.0%になっていた。一方、簡体字が使用されている中国は28.0%、韓国は28.1%となっていた。このことから、より将来性のある国の観光客にターゲットを絞るために、繁体字が使用されなくなったのではないかと考えた。

アラビア語に関しては、国際政府観光局(JNTO)のホームページに2011年6月17日掲載された『JNTOアラビア語サイトを開設』という記事に「富裕層も多く、旅行やショッピングにかける金額が高額である」ため「今後の有望な訪日旅行市場の一つである」という評価を受けており、その影響でアラビア語が使用されているのではないかと考えた。

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