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第7章 海外に向けた"和"の発信の違い

7.6.銀座の専門店の和菓子屋の言語表記 (和田桃子)

7.6.1.店内における外国語表記

8店舗中、外国語表記があったのは4店舗だった。表9のように、英語は外国語表記があった4店舗全てに記載されていた。次に多かったのがローマ字で、3店舗にあった。中国語は2店舗、韓国語、その他の言語表記があったのはとらや銀座店の1店舗のみだった。とらや銀座店の店舗説明が書かれたパネル図6にはフランス語での記載があったが、とらやはパリにも出店しており、フランス人客をターゲットとしていることが推測できる。

掲示形態で最も多かったのは表10のようにパネルで、商品や店舗に関する説明が記載されていた。値札に外国語表記があったのは銀座あけぼのの1店舗のみで、ローマ字と英語で表記されていた。

だいたいは日本語表記も外国語表記も似たような内容だが、日本語で記載していることがそのまま全て訳され、外国語表記されているわけではない。図に記載されている「请不要吃」という中国語は、日本語で「食べてはいけません」という意味であるが、「これは見本です」という旨が中国語では表記されていない。また図では、日本語では商品説明が書いてあるが英語では記載されていない。

表9.外国語表記の有無(有:1 無:0)

店名 ローマ字 英語 中国語(繁体字) 中国語(簡体字) 韓国語 その他
銀座あけぼの 1 1 0 0 0 0
瑞花 0 0 0 0 0 0
銀座風月堂 0 0 0 0 0 0
萬年堂本店 0 0 0 0 0 0
菊廼舎 1 1 0 0 0 0
空也 0 0 0 0 0 0
銀座とらや 1 1 0 1 1 1
松崎煎餅 0 1 1 0 0 0

表10.外国語表記の掲示形態と内容

店名 掲示形態 表記内容
銀座あけぼの 値札 商品名、値段、賞味期限
菊廼舎 パネル 商品説明
銀座とらや パネル 商品説明、免税についての説明、店舗説明
松崎煎餅 パネル 店の歴史、注意書き

図6.とらや銀座店の4か国語で表記された店舗説明のパネル

7.6.2.店舗外での言語表記

店外でホームページ以外に各店舗や商品について海外に情報発信しているのか調べた。銀座公式ウェブサイトである銀座オフィシャルは、日本語、英語、中国語で閲覧することができる。ここでは菊廼舎、銀座松崎煎餅本店、銀座あけぼの、とらや銀座店の4店舗が紹介されている。図7は訪日外国人向けのウェブマガジンであるMATCHAというサイトだ。日本語(普通のものと漢字に振り仮名がついている「やさしい日本語」の2種類)、英語、中国語(簡体、繁体の2種類)、韓国語、アラビア語、インドネシア語、ベトナム語の9通りの表記が選択できる。ここでは菊廼舎、銀座松崎煎餅本店、銀座あけぼの、空也の4店舗が掲載されていた。

図7.MATCHAのホームページ(韓国語版)

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