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第2章 ドラッグストアの言語景観

2.5.会計案内、サブ看板における言語景観(佐川和希)

2.5.1.概要

会計案内(床)と会計案内(吊り下げ)、サブ看板についての分析・考察を行う。銀座と銀座以外で比較し、銀座の特徴を探る。

2.5.2.集計結果

表5.集計結果

会計案内(吊り下げ) 会計案内(吊り下げ) 会計案内(吊り下げ)
掲載順序 使用
言語数
掲載順序 使用
言語数
掲載順序 使用
言語数

(簡)

(繁)

(簡)

(繁)

(簡)

(繁)
マツモト
キヨシ
beauty U 1 2 - - 2 1 - - - 1
銀座8丁目店 1 2 - - 2 1 - - - 1
銀座5th店 1 3 - 2 3 1 3 - 2 3  
戸塚町店 - 1 - - 1    
トモズ 銀座3丁目店           1 - - - 1 1 2 - - 2
ららぽーと
湘南平塚店
          1 - - - 1 1 2 - - 2
ココカラ
ファイン
銀座4丁目店 1 - - - 1 1 - - 2 2  
茶沢通り店 1 2 - - 2 1 - - - 1 1 - - - 1
くすりの
福太郎
銀座6丁目店           1 - - - 1  
銀座5丁目店            1 - - - 1  
三軒茶屋店 1 - - - 1 1 - - - 1  

2.5.3.分析

図2.地域ごとの使用言語数

上のグラフから、3つのうち2つのアイテムにおいて、銀座のほうがそれ以外の地域よりも言語対応を多くしていることがわかる。なぜ銀座では言語対応が進んでいるのか、都市別の外国人滞在者数ランキングを用いて考えてみる。

表6.都市別外国人の滞在者数ランキング

順位 1 2 3 6 49 241 249
都市名 大阪府
大阪市
東京都
新宿区
東京都
港区
東京都
中央区
東京都
世田谷区
神奈川県
横浜市
戸塚区
神奈川県
平塚市

(inbound insight)

上はinbound insightによって2017年7月の昼間(10~18時)に行われた調査によるものである。外国人の滞在者数が多い順にランキング付けされている。ベスト3と調査対象店舗の属する都市の箇所のみ抜粋し、表を作成した。

銀座の属する中央区は全国6位とかなり高く、多くの外国人が訪れていることがわかる。それ以外の地域として調査した、世田谷区(49位)・横浜市戸塚区(241位)・平塚市(249位)は、銀座よりは低い順位になっている。銀座の言語対応がそれ以外の地域と比べた時に進んで見えるのは、このように外国人が多く訪れるという事実からなるものだろう。外国人が多く訪れ外国語の需要が増えたことにより、外国語での表記の対応を行う動きが見られるのではないかと思う。

銀座以外の地域としてまとめたときに、世田谷の店舗ではほかの店舗と様子が違うことがあった。具体的に言うと外国語対応が多く見えたのだ。それは世田谷がこのランキングで戸塚・平塚に比べ順位が高いのと関係がありそうだ。

2.5.5.まとめ

会計案内(吊り下げ、床)とサブ看板において、銀座と銀座以外とで比較すると、銀座のほうが言語対応を進めていた。そしてそれはその都市に訪れる外国人観光客の数の影響を受けていると考えられる。多くの外国人が訪れるとそれだけ外国語の需要も増し、その需要にこたえるような形で外国語対応を進めているのではないだろうか。

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