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第6章 銀座のホテルにおける言語景観について

6.4.ホテルインターフォンにおける言語表示(宮原千里)

6.4.1.調査結果

表2.ホテルインターフォン使用言語集計結果とホテルの属性

使用言語 開業年 地区 価格(円)
ホテルユニゾ銀座7丁目 日・英・中(簡)・韓 2016年 銀座7丁目 8820
ホテルユニゾ銀座1丁目 日・英 2016年 銀座1丁目 13788
相鉄フレッサイン銀座7丁目 日・英・中(簡)・韓 2016年 銀座7丁目 9900
相鉄フレッサイン銀座3丁目 日・英・中(簡)・韓 2017年 銀座3丁目 9900
三井ガーデンホテル銀座プレミア 日・英 2005年 銀座8丁目 20340
ミレニアム三井ガーデンホテル東京 日・英・中(簡・繁)・韓 2014年 銀座5丁目 20000
アパホテル銀座 京橋 - 2013年 京橋3丁目 11500
ホテル銀座ダイエー - 1979年 銀座3丁目 7500
ホテルサンルート銀座 日・英 2015年 銀座1丁目 11000
ソラリア西鉄ホテル銀座 日・英・中(簡)・韓 2011年 銀座4丁目 15600
ホテルミュッセ銀座 日・英 2018年 銀座7丁目 13500
ダイワロイネットホテル銀座 日・英 2015年 銀座1丁目 15000

表(-)はインターフォンがなかったことを示す
価格は宿泊日を2018年12月25日とする場合

インターフォンを設置しているホテルでは、日本語表記の下に英語表記が必ずあり、中国語簡体字と韓国語はセットになっている場合がほとんどである。中国語繁体字は、1店舗のみの使用で、中国語はどちらか一方のみの表記で済ませているホテルがほとんどであることがわかる。さらに同じグループのホテルでも使用言語に違いがあるホテルもある。

6.4.2.ホテル属性から見た特徴

ホテル価格順にみた特徴
1泊1万円以下のホテルは使用言語数が多い。一方、価格が高いホテルも使用言語数が多いが、一番高い三井ガーデンホテル銀座プレミアと1万円台前半のホテルは2言語である。欧米からの訪日外国人は宿泊費にかかる金額が高く、反対に中国語圏、特に中国本土からの訪日外国人の宿泊費は低いというデータがある(参考.観光庁訪日外国人消費動向調査2018年7-9月)。よって高価格ホテルは、欧米人宿泊者を意識していると考えられる。
開業年順に見た特徴
開業年と使用言語数に比例関係はないが、ホテルグループ(ホテルユニゾ・相鉄フレッサイン・三井ガーデンホテル)でみると、新しい店舗は言語数が増加している場合もあり、開業年と使用言語数には関係があると言える。
ホテルの住所(地区)別にみた特徴
銀座1丁目は平均2言語となり、使用言語が少ない。一方で銀座中心地に近いホテルほど言語数が多く、ユニゾや三井はホテル立地に合わせて言語を選んでいることがわかる。
ソラリアが高価格で使用言語が多い理由には、ホテルが中心地に近いことが関係していると言える。

6.4.2.ホテル属性から見た特徴

ホテルインターフォンが設置してある場合、その使用言語はホテルのターゲットとする客層、開業年、場所による違いがある。
年々増加していく訪日外国人に合わせるかたちで、使用言語数は増加していると言える。さらに、1泊1万円以下のホテルはターゲットを多国籍にしているため、言語数が多く、1万円以上のホテルは、宿泊費にお金をかける欧米人をターゲットにしているため、必ず英語表記があると考えられる。高価格ホテルの中には言語対応が豊富なホテルもあるが、それはホテルの場所が強く関係していると言える。銀座中心地は観光名所が多く、多くの外国人観光客がおり、使用言語数もそれに応えるようになっている。反対に1丁目などは中心地から離れ、オフィス街になっていることから、ビジネスマンの宿泊地としてホテルが建っているため、言語数が少ないと考えられる。

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