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第4章 デパートにおけるトイレの言語景観

4.4.個室トイレの使用言語とピクトグラム(堀井早苗)

4.4.1.個室トイレ内の使用言語についての調査結果

表1.個室トイレ内の恒常的、臨時的掲示物の使用言語とその数

恒常的 臨時的

(簡体字)

(繁体字)

(簡体字)

(繁体字)
銀座三越 ファッション 3F - - -
化粧品 B1F - - - -
食品 B2F - - -
和光銀座/本館 ファッション・化粧品
3F
- - - -
GINZA SIX ファッション 3F - - -
化粧品 B1F - - -
食品 B2F - - - -
松屋銀座本館 ファッション 3F - - - - - -
化粧品 1F  - - - - - -
食品 B1F - - - - -
縦計 10 10 1 10 10 5 6 7 0 0

調査した四箇所のデパートでは、恒常的掲示物・臨時的掲示物ともフロアごとに使用言語が違った。
恒常的掲示物の日本語・英語・中国語(繁体字)・韓国語の使用率は100%であることが分かる。また臨時的掲示物は英語・中国語(簡体字)はほとんどのデパートの各フロアで使用されていたが、松屋銀座本館では一つも使われていない。これは松屋銀座本館の個室トイレ内は、恒常的掲示物にほとんどの言語が表記されており、臨時的に補足する必要が無かったと考えられる。

4.4.2.個室トイレ内のピクトグラムについての調査結果

写真3.銀座三越個室トイレ内自動洗浄

写真4.GINZA SIX個室トイレ内ベビーシート

ピクトグラムは世界規格のものではなく、メーカーが表示しているオリジナルのものが多かった。トイレ内は言語が読めなくても、設備の使い方が見てわかるような絵として、規格ではないピクトグラムを使用しているのではないかと考える。

4.4.3.まとめ

デパートをそれぞれフロアごとにファッション、化粧品、食品に分類分けして調査したが、フロアによってターゲットにしている客層の違いにより言語にも差が見られた。銀座三越と和光銀座本館では化粧品フロアの臨時的掲示が英語と中国語しか使われていない。  他と比べて買い物目当ての観光客の多い銀座のデパートでは、化粧品フロアのターゲットの客層を中国人に絞り、トイレの臨時的掲示に共通語の英語と中国語を使用していると考察する。

デパートによっては景観のために表示を工夫している場所もあり、和光銀座本館は臨時的掲示が最低限しか貼られていなかった。また案内板のピクトグラムも規格の男女の色分けもなく全て金で統一されていた。 ピクトグラムは個室トイレ内には世界規格のものはほとんど見られず、メーカーが表示しているものが多く、使用方法や注意点を文字で読まずとも分かるように絵で示す、という役割であると考える。

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